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私立学校ガバナンス改革、文科省が対応方針を公表

 文部科学省は2021年12月21日、「私立学校ガバナンス改革に関する対応方針」を公表した。検討の方向性として、業務執行のけん制・違法是正が自律的になされるよう理事会・理事、監事等の在り方等を見直すよう示している。さらに検討を重ね、法案の提出を目指す。

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私立学校ガバナンス改革に関する対応方針
  • 私立学校ガバナンス改革に関する対応方針
  • これまでの検討経緯
  • これまでの検討経緯
 文部科学省は2021年12月21日、「私立学校ガバナンス改革に関する対応方針」を公表した。検討の方向性として、業務執行のけん制・違法是正が自律的になされるよう理事会・理事、監事、評議員会・評議員の在り方等を見直すよう示している。さらに検討を重ね、法案の提出を目指す。

 近年、大学を設置している学校法人で経営をめぐる不祥事が多数起こり、学校法人全体に対するガバナンス体制不備も指摘されていることから、文部科学省の学校法人ガバナンス改革会議が報告書「学校法人ガバナンスの抜本的改革と強化の具体策」を作成。文部科学省では、日本大学の事案を含め、これまでの不祥事も踏まえた制度上の課題や再発防止策について、ガバナンス改革の中であわせて検討すべきではないかとの考えから今回、「私立学校ガバナンス改革に関する対応方針」を策定した。

 「私立学校ガバナンス改革に関する対応方針」では、検討の方向性として「理事会の業務執行の円滑化を図りつつ、業務執行のけん制・違法是正が自律的になされるよう、理事会・理事、監事、評議員会・評議員の在り方、相互の関係について見直しを行う」と明記。監事の選解任の在り方、会計監査人の設置、内部統制システムの整備については、法人の規模等も考慮しつつ、監査の実効性を高め、適正な学校運営を担保する観点から見直すとした。

 理事の解任、理事長の解職の在り方については、円滑な学校運営に配慮しつつ、不正・違法があった場合に自律的に速やかに是正されるようにする観点から見直す。評議員会・評議員の在り方では、理事会・監事の監督が機能しない場合に自律的な監督機能が発揮されるよう、評議員に対するけん制の在り方や教育研究への影響等にも留意して見直す。

 特別背任罪や贈収賄罪等の刑事罰、子法人の扱い、過料については「これまでの不祥事事案への指導経過等を踏まえつつ、私学法内での位置付けについて検討する」とした。

 今後は、検討の方向性に沿って関係者の合意形成を図る場を設置。関係者との意思疎通と実態把握を行ったうえで、必要な改革方策については躊躇なく提示するとしている。

 12月21日に会見した文部科学省の末松信介大臣は「大学を設置する法人のみならず、幼・小・中・高単独で設置する法人についても、私立学校全体に関わる問題であることを踏まえ、あらためて関係者の合意形成を図る場を設け、最終的な改革案を検討していく。その検討結果、成案が得られ次第、速やかに法案の提出を目指す」と述べた。
《奥山直美》

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