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入学後伸びたのは「既存の考え方にとらわれない」早稲田大調査

 早稲田大学は2021年4月26日、「学生生活・学修行動調査」の結果を公表した。入学時より、「既存の考え方にとらわれず、新しいアイデアを生み出せる」や「自分の考えを分かりやすく表現できる」についての修得度が約2割増していることがわかった。

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入学時と現在の修得度
  • 入学時と現在の修得度
  • 学年別の入学時点の修得度と現在の修得度の平均値の差
  • 1日の予習・復習時の経年比較
 早稲田大学は2021年4月26日、「学生生活・学修行動調査」の結果を公表した。入学時より、「既存の考え方にとらわれず、新しいアイデアを生み出せる」や「自分の考えを分かりやすく表現できる」についての修得度が約2割増していることがわかった。

 「学生生活・学修行動調査」は、これまで38回にわたって学生部が実施してきた「学生生活調査」を継承し、大学総合研究センターが行った。早稲田大学の全学生対象に、2020年11月16日~12月7日にオンライン調査ツールを用いて実施し、有効回答者数は1万665件。2020年度春学期にも、大学の施策や授業実践の改善や学生の声を参考にするために「オンライン授業アンケート」を実施。今回の調査は、大学の意思決定支援をより強化し、学修者本位の教育実践を支援するために、これまで行われてきた旧調査を継承する形で企画・実施した。

 大学(学部・大学院)入学時に身に付いていたこと(項目)を聞くと、肯定的な回答「まあまあ身につい(た)ていた」+「身につい(た)ていた」がもっとも高かったのは、「相手の状況や考え方を尊重できる」(82.1%)というコミュニケーションにあたる項目だった。一方、肯定的な回答がもっとも低かったのは、「外国語を理解し、話せる」(43.6%)という国際性にあたる項目だった。

 ついで、それぞれ現在ではどのくらい身に付けているのかについては、すべての項目で入学時よりも高くなっている。特に、「既存の考え方にとらわれず、新しいアイデアを生み出せる」は19.3%増加し、「自分の考えを分かりやすく表現できる」も18.8%増加と大きく伸びた。一方で、「外国語を理解し、話せる」は11.1%増加と、もっとも伸びが小さい結果となった。

 学年別に入学時点の修得度と、現在の修得度の平均値を取り、その差をレーダーチャートで示してみると、学年が進行するにつれ、レーダーチャートに示される線が大きくなっている。1年生はまだ入学して半年程度なので、その伸長は決して大きくはない。4年生では平均的に、どの項目もそれぞれ伸長している。つまり、これらの項目の修得度は早稲田大学における学習を通じて着実に伸びていることを示している。ただし、いずれの学年においても、「異文化を理解できる」あるいは「外国語を理解し、話せる」といった国際性に関する項目の伸長が比較的小さい結果となった。これらは、今後の早稲田大学の教育の課題だという。

 授業の平均出席率は、2019年度の調査では「90~100%」という回答が59.3%であったのに対し、今回の調査では75.0%と大きく増加。コロナ禍において授業への出席率が一層高まっていたと考えられる。1日あたりの予習・復習時間については、4年生はあまり変化していないものの、1~3年生はそれぞれ増加。1~3年生では、「1時間以上2時間未満」の層がもっとも多く(1年31.4%、2年33.8%、3年36.2%)、特に1年生においては「2時間以上3時間未満」が17.4%から23.6%と大きく増加している。

 早稲田大学は、今後も大学の発展と学生ひとりひとりの成長につながるように、継続的に新調査を実施し、その結果を生かしていく。新調査の単純集計は今後公開する予定。また、早稲田大学を目指す中高生やその保護者にも、在学生の学び・経験と生活の実態を積極的に発信していくという。
《田中志実》

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