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東大教授ら、数学・物理の男性イメージを説明する新モデルを検証

 東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構の横山広美教授を中心とする研究グループは、数学や物理学の男性的イメージを説明する新モデルを提案し検証した。今回の研究では、男性イメージに起因する要因として「ジェンダー不平等の社会風土」を加えている。

事例 その他
数物の男性イメージ要因モデル
  • 数物の男性イメージ要因モデル
 東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構の横山広美教授を中心とする研究グループは、数学や物理学の男性的イメージを説明する新モデルを提案し検証した。今回の研究では、男性イメージに起因する要因として「ジェンダー不平等の社会風土」を加えている。

 数学・物理学の男性イメージを説明する新モデルの検証は、東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構の横山広美教授を中心とする、東京大学、NIRA総合研究開発機構、滋賀大学教育学部、名古屋大学素粒子宇宙起源研究所のメンバーからなる研究グループが実施したもの。物理学などの分野を大学で学ぶ女性が少ない要因を3つにまとめた先行研究を利用し、新たな要因を加えて男性的イメージを測定した。

 先行研究では、情報科学・工学・物理学を大学で学ぶ女性が少ないことの要因として「分野の男性的カルチャー」「幼少期の経験」「自己効力感の男女差」の3つがあがっている。今回の研究では、日本で根強い女性蔑視などの問題を組み込むため、4つ目の要因として新たに「ジェンダー不平等の社会風土」を追加。これらに対応した質問項目を用意し、どの項目が数学や物理学の男性的イメージと統計的に有意な関係があるかを、日本に住む男女と英国・イングランドに住む男女を対象にインターネット調査を行った。

 分析の結果、数学・物理学を学んだ後に就職する職業が男性向きと思う人ほど(職業)、女性は男性に比べて数学的能力が低いと思う人ほど(数学ステレオタイプ)、数学や物理学に進学する人は一般的に頭が良いと思う人ほど(頭が良いイメージ)、数学や物理学をより男性的なものと見なす傾向があることが明らかになった。

 研究代表の横山教授は、「学術の男性イメージは進学選択に影響を与えます。女子生徒に理系進学を勧める際に、就職情報のみならず数学ステレオタイプを解消することが重要です。実際、日本は世界的にみても女子生徒の数学の成績がとても良いのです。保護者や先生は、女子生徒は数学ができるのだと、応援してほしいと思います」とコメント。さらに、「学術に女性、男性といったジェンダーイメージが強いこと自体が問題ですが、その背景に、女性が知的であることに否定的なジェンダー不平等が根強く影響していたことがわかったことは、理系に女性が少ない問題が、単なる個人の選択の問題ではなく、社会の問題であることを示しています」と述べている。

 今回の研究成果は、科学技術社会論の国際的学術誌「Public Understanding of Science」のオンライン版に2021年3月24日付(日本時間)で公開予定。
《外岡紘代》

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