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児童生徒用タブレット端末、1人1台整備の自治体は1割未満

 児童生徒用タブレット端末の整備状況について、「全児童生徒1人1台整備している」と回答した自治体は、小学校で1.9%、中学校で3.3%といずれも1割に満たないことが、日本教育情報化振興会(JAPET&CEC)が2020年7月20日に発表した調査結果より明らかになった。

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小学校における児童用タブレット型コンピータの整備状況
  • 小学校における児童用タブレット型コンピータの整備状況
  • 中学校における生徒用タブレット型コンピータの整備状況
  • 小学校において授業で活用しているICT機器の整備状況(コンピュータ教室以外) (1)大型提示装置
  • 小学校において授業で活用しているICT機器の整備状況(コンピュータ教室以外) (2)カラープリンタ
  • 小学校において授業で活用しているICT機器の整備状況(コンピュータ教室以外) (3)実物投影機
  • 中学校において授業で活用しているICT機器の整備状況(コンピュータ教室以外) (1)大型提示装置
  • 中学校において授業で活用しているICT機器の整備状況(コンピュータ教室以外) (2)カラープリンタ
  • 中学校において授業で活用しているICT機器の整備状況(コンピュータ教室以外) (3)実物投影機
 児童生徒用タブレット端末の整備状況について、「全児童生徒1人1台整備している」と回答した自治体は、小学校で1.9%、中学校で3.3%といずれも1割に満たないことが、日本教育情報化振興会(JAPET&CEC)が2020年7月20日に発表した調査結果より明らかになった。

 日本教育情報化振興会は、教育の情報化の実態や現場の意識について、学校や教育委員会を対象としたアンケート調査を隔年で継続的に実施してきた。12回目となる今回は、全国の自治体教育委員会と全国公立小中学校を対象に、GIGAスクール構想や新型コロナウイルス感染拡大前のアンケート調査を行った。アンケート調査結果をまとめた報告書は、「調査概要編」「教育委員会編」「学校編」の3部構成で、約160ページにわたる。

 教育委員会を対象に、授業で活用しているICT機器の整備状況(コンピューター教室以外)について聞いたところ、すべての普通教室で「大型提示装置」を整備した教育委員会は小学校で50.4%、中学校で47.5%。「カラープリンタ」は小学校で1.2%、中学校で0.9%、「実物投影機」は小学校で29.1%、中学校で24.1%という結果だった。

 教員用コンピューターの整備状況について、全教員1人1台整備しているのは小学校で81.9%、中学校で81.6%。整備にあたり、指導者用デジタル教科書を導入している割合は小学校で40.5%、中学校で39.8%だった。一方、児童生徒用タブレット端末の整備状況について、全児童生徒1人1台整備しているのは小学校で1.9%、中学校で3.3%。「第3期教育振興基本計画」で示された「3クラスに1クラス分程度以上整備」ができている教育委員会は小学校で8.3%、中学校で9.5%に留まった。

 小中学校を対象に、電子黒板やプロジェクタなどの大型提示装置、デジタル教材の導入で、よりわかる授業を実施できるようになったか聞いたところ、「強くそう思う」と回答したのは小学校で41.2%、中学校が34.2%といずれも前回の調査時よりも10ポイント以上増加。全体では「強くそう思う」「そう思う」計90.9%がよりわかる授業を実施できるようになったと感じている。

 なお、同質問について、地域全体で児童・生徒に対して1人1台の環境をほぼ実現している「先進地域」123校と、そのほかの「一般地域」1,158校に分けて比較したところ、先進地域の66.7%が「強くそう思う」、32.5%が「そう思う」と回答し、計99.2%とほぼすべての学校がよりわかる授業を実施できるようになったと感じていることがわかった。一方、一般地域では「強くそう思う」36.3%、「そう思う」53.7%(計90.0%)という結果だった。

 また、授業用ICT環境整備が推進されたことにより、児童・生徒が積極的に授業や学習活動に参加するようになったかという問いでは、一般地域が「強くそう思う」が20.1%、「そう思う」66.0%の計86.1%であるのに対し、先進地域では「強くそう思う」47.2%、「そう思う」48.0%の計95.2%だった。

 教育用コンピューターなどに関するアンケート調査は、全国市区町村の1,741自治体教育委員会すべてを対象とした全数対象調査と、全国公立小中学校のリストから、一定規模の児童・生徒数を有する範囲の学校(小学校は児童数が80以上800未満、中学校は生徒数140以上700未満)を選出し、小学校3,337校、中学校1,913校の合計5,250校を標本として選択した標本調査を実施。教育委員会を対象とする全数調査は419の教育委員会、全国公立小中学校を対象とする標本調査は小中学校1,281校の回答を得た。調査時期は2019年8月~9月。
《桑田あや》

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