文部科学省は2020年6月5日、新型コロナウイルス感染症対策に伴う児童生徒の「学びの保障」総合対策パッケージを公表した。子どもたちの学びを最大限に保障するため、教員加配や学習指導員の追加配置、1校あたり100~500万円の経費支援などを盛り込んでいる。 「学びの保障」総合対策パッケージは、新型コロナウイルス感染症対策に伴う児童生徒の「学びの保障」についての基本的な考え方、子どもたちの学びを支えるための文部科学省の支援策をまとめたもの。文部科学省のWebサイトで公開しているほか、6月5日に全国の教育委員会や学校関係者に通知を出している。 効果的な学習保障のための学習指導の考え方については、「次年度以降を見通した教育課程編成」「学校の授業における学習活動の重点化」などを記載。最終学年(小6・中3・高3)は優先的な分散登校などを活用して学習を取り戻し、最終学年につぐ学年は2021年度を含めた2年間、それ以外の学年は2021年度と2022年度を含めた3年間を見通した教育課程の編成により、無理なく学習の遅れを取り戻すことを可能にする。 小学6年生と中学3年生に向けては、最終学年であり、学習内容の確実な定着が必須であることから、国語、算数・数学、英語の1学期ごろまでの学習内容について教材を作成する。学校での補習や復習での活用、生徒の自主学習での活用を想定している。 人的・物的体制の緊急整備として、3,100人の教員を加配し、6万1,200人の学習指導員と2万600人のスクール・サポート・スタッフを追加配置。感染症対策や学習保障のために迅速かつ柔軟に活用できる経費を1校あたり100~500万円支援することも盛り込んでいる。支援額は、感染状況や学校規模などに応じて配分する。 ICT活用によるオンライン学習の確立については、特に家庭でICT環境を整備できない子ども向けに端末やモバイルルータなどを優先配置。8月には、特定警戒都道府県に指定された地域など、優先すべき地域でICTを活用したオンラインによる家庭学習がすべての児童生徒に可能な環境を実現させるとした。 このほか、高校入試は出題範囲や内容・方法について、地域における学習状況を踏まえ、必要に応じた適切な工夫を講じるなど、実施者である都道府県教育委員会などに対して、2021年度の高校入試における配慮を依頼。工夫の例として、「中3からの出題が適切な範囲や内容となるよう設定する」「問題を選択できる出題方法とする」「面接・作文等の学力検査以外の方法も用いる」をあげている。 大学入試は、総合型および学校推薦型選抜において、大会や資格・検定試験などに参加できなかったことが不利益にならないよう、成果獲得に向けた努力のプロセスの評価や、オンラインによる個別面接の工夫など、全大学に配慮を依頼。一般入試を含めた入試日程、出題範囲、追試験の活用による受験機会の確保などについては、6月中に「大学入学者選抜実施要項」を策定・公表予定とした。 参考資料として、中学3年生を例に新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた教育活動の展開イメージも掲載。4~5月に臨時休業、6月に分散登校から順次学校が再開し、夏休みは一部短縮して授業を実施。2学期から週2回1コマの追加的な補充授業・補習や月1回の土曜授業(午前)を実施することで、修学旅行や文化祭などの学校行事を開催する年間計画のイメージを紹介している。