富士通研究所と富士通研究開発中心(FRDC)は、カメラで撮影した映像から、複雑な手洗い動作を認識するAI「行動分析技術 Actlyzer手洗い動作認識」を開発した。これにより、厚生労働省が推奨する正しい手の洗い方6ステップの実施と、各ステップで手をこすった回数を正確かつ自動で認識することができる。 新型ウイルスなどの感染から人々の健康を守る対策として、手洗いの重要性が世界的に再認識されている。厚生労働省は、食中毒や感染症の予防に効果的な「正しい手の洗い方6ステップ」の実施を推奨している。現在、食品事業者では、正しい手の洗い方6ステップの実施と、ステップごとにあらかじめ規定した回数以上の手のこすり実施を確認する方法として、チェック表記入による自己申告や監視員による目視確認を行っている。しかし、人手による確認のため、漏れや管理コストが発生し、自動化のニーズが高まると予測される。 従来からあるディープラーニングを使ったハンドジェスチャ認識技術は、手が写った画像から指の関節や指先といった手に含まれる複数の特徴点を検出し、その特徴点の位置関係をもと手や指の動作を判定する。しかし、手洗い動作は両手が重なる・手の上に泡があるという条件下で行われるため、手指の特徴点が正確に検出できず、動作の認識が正しく行えない課題があった。 そこで、富士通研究所とFRDC独自のAI「行動分析技術 Actlyzer(アクトライザー)」に手指の動作認識機能を拡張し、手洗い動作を正確に認識できる「行動分析技術 Actlyzer 手洗い動作認識」を新たに開発した。これにより、手洗い実施確認を自動化し、目視確認と手作業による記録の工数をゼロにすることができる。また、誤った手洗い方法では正しい手洗い動作として認識されないため、誰もが同じく正しい手洗いを確実に身に付けられる教育効果や平準化効果も期待できる。 また、食品業界に限らず、教育現場や医療、宿泊・イベント施設などさまざまな現場の衛生管理や、インフルエンザ、新型ウイルスなどの感染症予防にも役立てられる。