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【クレーム対応Q&A】細かい指導に抵抗感…筆算で定規使用

 保護者から学校(教員)にクレームが来るものの1つに指導法に関するものがあります。教師の指導が親の立場からすると細かいと感じてしまうケースなどです。具体的には、「筆算では定規を使う」「手を挙げる時は肘を曲げずに真っ直ぐに挙げる」などです。

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 学校に寄せられるさまざまなクレーム。保護者や地域からのクレームに先生はどのように対応するのが良いだろうか?クラス担任として豊富な経験がある鈴木邦明氏に、学校へ寄せられるさまざまなクレームに対応する際のポイントを聞いた。第22回は「筆算では定規を使う、手は右手でまっすぐ挙げるなど、先生の細かい指導に対して子どもが馴染まず、学校に行くのが嫌になってしまった」。

適切な対応が必要


 保護者から学校(教員)にクレームが来るものの1つに指導法に関するものがあります。教師の指導が親の立場からすると細かいと感じてしまうケースなどです。具体的には、「筆算では定規を使う」「手を挙げる時は肘を曲げずに真っ直ぐに挙げる」などです。

 学校はたくさんの子どもが毎日過ごしています。先ほどあげたやり方(ルールなど)は、たくさんの人がスムーズに暮らすために編み出された方法です。たくさんの人が安全に過ごし、学びの質を高めていくために学校が長い時間をかけて作り上げてきたものです。たとえば、廊下の歩き方のルールなどがあることで、ぶつかることを防ぐことができます。ただ親の立場から見ると、そういったルールが細か過ぎると感じる場合もあるのだと思います。そういった細かいルールなどによって子どもが苦痛を感じてしまう場合もあります。そういったことに対し適切な対応が必要となります。

指導方法の意義や意味を伝える


 保護者にその意義や意味を伝えていくことが大切でしょう。一見細かいと思われるような指導には多くの場合、そうすることの意味があります。特に小学校に入学した1年生ではそういったことを多く伝えていきます。小学校1年生は「学び方を学ぶ」学年と言われます。学ぶ際のより良い形を学び、その後の学びなどがスムーズにいくようにしていくことは重要なことです。保護者に対して、教師がそういったことを伝えていくことは大切でしょう。

 ただ子どもがそういったやり方に苦痛を感じていたり、場合によって、学校に行きたくないと思っていたりするような場合は、素早い対応が必要でしょう。実際に対応する際は、学校全体のやり方なのかそのクラス独自のやり方なのかによって対応が少し違ってきます

 学校全体のやり方(「〇〇スタンダード:〇〇には学校名や自治体名が入る」などの言い方をすることが多い)の場合、そのやり方を変えてしまうと、後々トラブルになってしまう可能性もあります。その子どもが次年度、違う担任になった際、その部分で再度トラブルとなってしまいます。「前の先生は良かったのに…」という感じになってしまいます。そういったことは新しいクラスを作り上げる際のマイナス要因となってしまいます。勝手に自分の判断で学校全体の取組みを変えてしまうのは得策ではありません。学年主任や校内の担当者と相談すると良いでしょう。

 クラス独自のやり方の場合、やり方を変えていくということは、それほど難しいことではありません。クラスのやり方として採用しているということは、担任自身にとってやりやすい方法なのだと思います。教師が良いと考えるシステムでもそれにうまく適応できない子どもが出てくる場合があります。子どもの状態に合わせ、その子どもの学びが良いものとなるようにアレンジができれば良いと思います。「教師にとって」やりやすいやり方ではなく、「子どもにとって」やりやすいやり方が望ましいやり方でしょう。
《鈴木邦明》

鈴木邦明

帝京平成大学 人文社会学部児童学科 准教授。1971年神奈川県平塚市生まれ。1995年東京学芸大学教育学部卒業。2017年放送大学大学院文化科学研究科修了。神奈川県横浜市と埼玉県深谷市の公立小学校に計22年間勤務。2018年からは帝京平成大学において教員養成に携わっている。「学校と家庭をつなぐ」をテーマに保護者向けにも積極的に情報を発信している。

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