埼玉県教育委員会は2026年10月26日、高校教育改革実行計画について発表した。同計画は、生産年齢人口の減少や産業構造の変化、高校教育における理系人材の不足や生徒数の減少といった課題に対応し、2040年に向けた高校改革の基本的な考え方と方向性を示している。
県教育委員会では、国の「高校教育改革に関する基本方針~2040年に向けた『N-E.X.T.(ネクスト)ハイスクール構想』~」を踏まえ、高校教育改革実行計画の策定を予定している。同計画は、少子化の進行や社会構造の変化、生徒の学びの多様化に対応しながら、県立高校の魅力化・特色化と教育の質の向上を図ることを目的としている。
埼玉県における背景として、人口動態と産業構造の変化があげられる。埼玉県では少子高齢化にともない、生産年齢人口が2040年には約391万人と、2025年と比較して約12.1%減少する見込み。他県へ就業・通学する人口割合は13.9%と全国でもっとも高く、昼夜間人口比率は89.6と全国でもっとも低い。また、高校卒業後の就職者の32.4%、大学進学者の71.1%が県外へ流出するなど、進学・就職期における人材流出が課題となっている。産業構造では、県内総生産の業種別構成比で製造業が21.6%ともっとも高く、卸売業・小売業とともに主要な産業をなしている。今後、職種や学歴の需給ミスマッチが生じ、事務職や文系人材が余剰となる一方、AIやロボットの活用を担う専門職、現場人材、理系人材の不足が予想されている。企業におけるDX推進の課題では「デジタル人材がいない」との回答が27.2%で最多を占めており、デジタル技術を活用できる人材へのニーズが高まっている。
こうした社会状況のもと、埼玉県における高校教育の現状と課題が浮き彫りとなっている。公立高校全日制課程への入学者の75.9%が普通科を選択し、3年次の文理選択における理系割合は35.7%にとどまっている。教科横断的な学習や探究活動により学びが深まったと感じる生徒および教員は96.2%にのぼる一方、データサイエンスの手法を用いた探究活動を実施した高校の割合は14.8%にとどまり、理数系の学びを実社会で生かす機会の提供が必要とされている。また、公立中学校などの卒業予定者数は令和8年(2026年)3月の約5.8万人から令和22年(2040年)3月には約4.1万人へと約3割減少する見通しである。生徒数の減少により地域での学習機会喪失が懸念されるほか、通信制高校への進学割合の増加や、不登校、日本語指導が必要な生徒の増加など、多様な背景を持つ生徒への対応も求められている。
これらの課題に対応するため、高校改革の基本的な考え方と方向性が提示された。基本姿勢として、「今ある職業」を前提とした教育からの脱却、「文系か理系か」「普通科偏重」といった従来の進路モデルからの転換、生徒数減少による地域での学習機会喪失の克服と多様な教育ニーズへの対応を掲げる。2040年に向けた高校の姿としては、専門高校の機能強化・高度化により「変化する社会で活躍し続ける力を育む高校」へ、普通科改革を通じた特色化・魅力化により「自らの進路を切り拓くための幅広い学び」へ、地理的アクセスや多様な学びの確保により「県全体で学びを支える高校教育」へと転換を図る計画であるという。















