文部科学省は2026年10月9日、2025年度(令和7年度)「全国学生調査(本格実施)」の結果を公表した。有効回答数は33万6,571人。大学生の約9割が専門分野の知識・理解が身に付いたと回答した一方、授業外学修時間の短さや外国語を使う力の修得実感の低さが課題となった。
全国学生調査は、学生の視点から大学教育や学修の実態を把握し、各大学の教育改善や国の政策立案などに活用することを目的とした調査。2019年度から4回の試行実施を経て、2025年度から本格実施となった。今回は、参加意向を示した大学734校(全大学の94.1%)の学部2年生・4年生などと、短期大学237校(全短大の85.6%)の2年生以上を対象に、2025年10月から2026年3月にかけて実施した。
調査は、文部科学省が実施するWeb調査に学生が直接回答する方法と、各大学が実施する独自の学生調査に共通の質問項目を組み込む方法から選択する形式で行った。質問項目は、授業の状況、大学での経験とその有用さ、大学教育を通じて身に付いた知識や能力、1週間の生活時間など全33問で、任意の自由記述欄も設けた。
有効回答数は33万6,571人で、内訳は大学生が31万9,699人、短期大学生が1万6,872人。有効回答率は全体で26.0%となり、2024年度の第4回試行実施の13.5%から上昇した。大学は25.3%、短期大学は60.8%だった。本格実施にあたり、調査への参加や結果公表への同意が「大学教育再生戦略推進費」の申請要件や私立大学等経常費補助金の指標に設定されたことも、回答率の上昇につながった。
授業については、「理解がしやすいように教え方が工夫されていた」と回答した割合が大学で91%、短期大学で95%にのぼった。また、グループワークやディスカッションの機会があったとする割合は大学81%、短期大学92%だった。一方、課題などの提出物に適切なコメントが付されて返却されたとする割合は大学59%、短期大学72%にとどまった。
大学での経験については、英語で行われる授業を経験した学生は約6割で、そのうち約7割が「有用だった」「ある程度有用だった」と回答した。一方、5日間以上のインターンシップを経験していない大学生は77%、海外留学・海外研修を経験していない大学生は83%だった。
大学教育を通じて身に付いた知識や能力については、専門分野に関する知識・理解が身に付いたと回答した割合が大学で90%、短期大学で96%となった。他者と協働する力も大学88%、短期大学94%と高かった。一方、外国語を使う力については、大学生の60%が「あまり身に付いていない」「身に付いていない」と回答。数理・統計・データサイエンスに関する知識・技能についても、大学生で身に付いたと回答した割合は56%だった。
大学の学びによる成長については、成長を実感している大学生が86%、短期大学生が92%となった。また、卒業時までに身に付けるべき知識や能力を意識して学修している割合は、大学で84%、短期大学で93%だった。一方、授業アンケートなどを通じて大学教育が良くなっていると感じる大学生は57%だった。
1週間の生活時間では、大学2年生の64%が授業への出席に週16時間以上を費やす一方、予習・復習や課題など授業に関連する学習時間が週5時間以下の学生は60%を占めた。大学4年生以上では、授業関連の学習時間が週5時間以下の学生は75%にのぼった。卒業論文・卒業研究・卒業制作については、週16時間以上を費やす学生が32%いる一方、週5時間以下の学生も40%を占めた。
文部科学省は、授業外学修時間の確保に向けた課題として、期末試験のみで単位認定が行われることによる過剰登録や、単位登録上限(キャップ制)の形骸化などを指摘している。大学設置基準では、1単位あたり45時間の学修を標準としており、授業時間に比べて授業外学修時間が短い現状は、単位制度の趣旨との乖離が課題となる。
調査結果は各大学の教育改善や国の政策立案などに活用する。肯定的な回答割合が高い大学を一覧にした「ポジティブリスト」は公表せず、結果公表に同意した大学の学部・学科別の集計結果を年内を目途に公表する予定。














