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教員8割が10時間以上勤務、休憩「ほとんどとれない」64.6%

 小学館が運営する教員向けWebメディア「みんなの教育技術」編集部は、電通総研の協力・監修のもと、全国の教育関係者2,672人を対象に教員の勤務実態に関するアンケート調査を実施した。教員の約8割が1日10時間以上勤務しており、2025年調査からほぼ横ばいの水準にとどまることがわかった。

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教員の勤務実態に関するアンケート
  • 教員の勤務実態に関するアンケート
  • 1日あたりの勤務時間
  • 「実際にとれている」1日あたりの休憩時間
  • 出勤前や退勤後、「持ち帰り残業」をする日は週に平均でおよそ何日あるか
  • 1か月の中で、休日に仕事をする日は平均でおよそ何日あるか
  • 時間外勤務が発生するおもな要因
  • 「勤務時間の長さ以外で、『つらい』と感じるのはどんなときか」という質問に対する自由記述の回答から、頻出単語や言葉同士の関係を示したテキストマイニング図(作成・提供:電通総研)
  • 「『これがあるから教員はやめられない!』と、思うような強い喜びを感じるのはどんなときか」という質問に対する自由記述の回答から、頻出単語や言葉同士の関係を示したテキストマイニング図(作成・提供:電通総研)

 小学館が運営する教員向けWebメディア「みんなの教育技術」編集部は、電通総研の協力・監修のもと、全国の教育関係者2,672人を対象に教員の勤務実態に関するアンケート調査を実施した。教員の約8割が1日10時間以上勤務しており、2025年調査からほぼ横ばいの水準にとどまることがわかった。

 調査対象は全国47都道府県の教育関係者で、調査期間は2026年5月23日から7月5日。Webメディア「みんなの教育技術」でアンケート調査を行い、有効回答数は2,672人だった。

 勤務時間については、79.4%の教員が10時間以上勤務していると回答した。約4人に1人(24.3%)が12時間を超えて勤務しており、平均値は約11.05時間だった。2025年調査の平均11.17時間とほぼ横ばいの水準にとどまり、法定労働時間を上回る勤務が常態化している可能性がうかがえる。

 1日に取得できている休憩時間について、「ほとんどとれない」と回答した人は全体の64.6%にのぼった。「15分未満」を加えると、回答者の84.1%がまともな休憩をとれていない実態がわかった。特に、1日8時間以上勤務していると回答した教員(2,610人)に絞ると、労働基準法上60分以上の休憩が必要となるが、実際に60分以上とれていた人はわずか6人(0.2%)だった。「子供がいる時間は子供から目が離せないので休憩ができない」「隙間時間や放課後も会議や保護者対応などの突発的な業務に追われて自分でコントロールできる時間がとれない」といった実態がある。また、特に目立ったのが、トイレを我慢し続けた結果、体調を崩したという訴えだった。

 出勤前・退勤後の「持ち帰り残業」が週3日以上あると答えた教員は49.8%(1,321人)で、2025年調査の「50%超」とほぼ同水準だった。「ほとんど毎日」持ち帰り残業をしていると答えた教員が34.6%(917人)を占めた。

 1か月のうちに休日に仕事をする日があると答えた教員は86.4%にのぼり、2025年調査の「約9割」に近い水準を維持している。平日は、突発的な業務量の多さ、家庭の都合や疲れ果てて業務が終わらず、自分が裁量をもちやすい休日に、教材研究や学級事務、校務分掌の仕事などを行うという声が多く寄せられた。

 時間外勤務の最多の要因は「1日の業務量がそもそも8時間以内にできる設定ではないため」で86.3%だった。2025年調査(「80%以上」)よりもさらに高い水準となり、慢性的な業務過多が構造的要因であるという認識が、この1年でむしろ強まっている可能性がうかがえる。有効回答数2,580人のうち、90%以上が複数の要因を選択しており、解決の難しさがうかがえる。自由記述では、不要な業務の多さ、人手不足の穴埋めが必要、中学校では部活で土日出勤をせざるを得ないという声が寄せられた。

 「勤務時間の長さ以外で、『つらい』と感じるのはどんなときか」という自由記述の設問に対し、もっとも多くあげられた回答は2025年調査と同様に「保護者から理不尽なクレームを受けているとき」で22.9%、ついで「業務量の多さ」が15.7%と続いた。体調不良の訴えや休みのとりづらさ、休暇や雇用の「制度」そのものが十分に整っていないという訴えも目立った。

 公立学校教員の給与などについて定めた教員給与特措法(給特法)は2025年6月に改正され、文部科学省は同年に新たな指針を公示した。同指針では、2029年度(令和11年度)までに時間外勤務が月45時間以下の教職員の割合を100%としたうえで、教員の時間外勤務を月平均約30時間まで減らすこと、年間の総時間外在校等時間を360時間以下とすることを目標に掲げている。しかし、具体的な施策が学校現場に依存している結果、目標と実態に差が出ている現状が浮き彫りになった。

 「『これがあるから教員はやめられない!』と、思うような強い喜びを感じるのはどんなときか」という問いでは、2025年調査と同様に「子供の成長やできた瞬間」や「子供の笑顔や楽しそうな姿」など、68.1%が子供関連のポジティブな出来事に喜びを見いだしていると回答した(回答2,203件)。

 「残業時間を減らすより、情緒的疲労を減らしてほしい」と考える教員が60.6%にのぼった一方で、将来のデジタルツール開発に期待する方向性を尋ねると、65.3%が「情緒的疲労の軽減」よりも「生産性の向上」を選んだ。日々の心のケアを切実に求めながらも、それをかなえる具体的な手段としては、まず業務そのものを減らす・効率化することへの期待のほうが現実的だと感じているという複雑な心理を映しているとも解釈できる。

 「自分は研修以外にも自主的に学んでいると思うか」という設問に対し、「そう思う/ややそう思う」と回答した教員(2,043人)のうち、「俯瞰的に物事をみられている」と答えた割合は80.4%にのぼった。自主的な学びをしていないと回答した教員(52.6%)と比べて約28ポイントの差があり、学び続ける姿勢と物事を客観視する力との関連がうかがえる。心理学の分野では、物事を一歩引いてみる視点(セルフディスタンシング)をもつ人はネガティブな感情にとらわれにくいことが指摘されており、自ら学び続ける姿勢が間接的にメンタルヘルスの維持にもつながっている可能性がある。

 調査の結果、2025年から2026年にかけての1年間で、勤務時間・休憩・持ち帰り残業・休日勤務といった基本的な指標に大きな改善はみられなかった。給特法改正に基づき文部科学省が掲げる「2029年度までに時間外勤務を月平均約30時間まで減らす」という目標に対し、公的統計でも今回の独自調査でも、現状はなお大きく乖離したまま。さらに、表向きの残業削減を目指すことで、残業実態が見えづらくなっていくリスクも見えてきた。教員が「残業時間を減らす」こと以上に「情緒的な疲労を減らしてほしい」と願っているという実態も新たに浮き彫りになり、給特法改正や新指針による量的な目標管理と、安心して働くための情緒的な支援を求める現場の声にどう応えるか、その両輪をどう回していくかが、今後の学校の働き方改革の鍵になるとしている。

 Webサイト「みんなの教育技術」では、自由記述欄からの豊富な抜粋によって現代の教員のリアルな実態がわかる記事を配信している。

《吹野准》

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