文部科学省は2025年11月18日、「科学の再興」に関する有識者会議の提言を公表した。2026年度から5年間で取り組む施策をまとめ、「日本人研究者の海外派遣累計3万人」「博士課程入学者・博士号取得者数2万人」などの目標も掲げている。
「科学の再興」に関する有識者会議は7月、科学とイノベーションが密接不可分であることを理解したうえで、あえて「科学」の視点に立ち、「科学の再興」に向けた具体的な対応策を取りまとめるために設置。5回にわたり議論を重ね、提言にまとめた。
全体像は「科学を再興し、科学を基盤としてわが国の将来を切り拓く」。2026年度から2030年度までの第7期科学技術・イノベーション基本計画で、迅速かつ集中的に取り組み、トレンドを変えていく事項に「新たな研究領域への挑戦の抜本的な拡充」「日本人研究者の国際性の格段の向上」「研究大学群の本格始動・拡大」などをあげている。
2030年度末までの具体的な目標値も示している。若手を中心とした挑戦的な研究課題数を2倍(2024年度実績6,500件程度)、日本人研究者の海外派遣を累計3万人(2023年度実績3,623人)、博士課程入学者・博士号取得者数を2万人(2020年度取得者数実績1万5,564人)、総論文数に対する全分野でのAI関連論文数の割合を世界5位(2024年世界10位)とすることなどを目指す。
また、研究設備などのアクセス確保・持続的強化と研究費使途の変革に向け、大学等全体の研究設備の共用化率を現状の20%から30%へ拡大。世界をリードする研究大学群の実現に向け、経営戦略の構築・実装(ガバナンス強化)を進め、教員の研究時間割合50%以上などを実現する研究大学は、20大学以上とする目標値も提示した。2023年の文部科学省「大学等におけるフルタイム換算データに関する調査」(FTE調査)によると、教員全体の研究時間割合は32.2%となっている。








