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大学生6割「外国語を使う力が身に付いていない」文科省の調査で判明

 多くの大学で外国語が必修科目とされている一方で、外国語を使う力が身に付いていないと回答した大学生は6割を超えており、学修成果を実感できていない現状などが、文部科学省が2024年度に実施した「全国学生調査」より明らかになった。

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大学教育を通じて、次のような知識や能力が身に付いたと思いますか
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 多くの大学で外国語が必修科目とされている一方で、外国語を使う力が身に付いていないと回答した大学生は6割を超えており、学修成果を実感できていない現状などが、文部科学省が2024年度に実施した「全国学生調査」より明らかになった。

 「全国学生調査」は、「学修者本位の教育への転換」を目指す取組みの一環として、全国共通の質問項目により、学生目線から大学教育や学びの実態を把握し、大学の教育改善や国の政策立案など、大学・国の双方において活用することを目的に実施。2019年度に第1回(試行実施)を行い、今回発表となった2024年度は第4回(試行実施)。2025年度以降に本格実施となる。

 今回は2024年10月28日から2025年3月7日の期間に、参加意向のあった540大学に在籍する学部2年生(約49万人)および4年生等(約51万人)と、短期大学132校に在籍する2年生以上(約1.8万人)を対象に行った。回答率は大学13.1%、短期大学38.0%。文部科学省と国立教育政策研究所が共同で試行実施した。

 調査結果を大学についてみていくと、「課題等の提出物に適切なコメントが付されて返却される」の質問に、「あまりなかった」「なかった」と回答した割合は46%と約半数。自由記述では「課題を提出したがフィードバックがなく、どこまで理解できているのか、何が間違っているのかがわからなかった」等の意見が散見された。

 「外国語を使う力」について、「あまり身に付いていない」「身に付いていない」と回答した割合は64%。多くの大学で外国語が必修科目とされている中で、半数を超える学生が学修成果を実感できていないことが明らかとなった。

 また、「数理・統計・データサイエンスに関する知識・技能」についても、「あまり身に付いていない」「身に付いていない」と回答した割合が47%と約半数となった。

 「授業アンケート等の学生の意見を通じて大学教育が良くなっている」との質問には、「あまりそうは思わない」「そうは思わない」との回答が48%であり、約半数の学生は授業アンケート等が大学教育の改善に生かされている実感を得られていないことが判明。

 一方で、「大学での学びによって成長を実感している」ことを問うと、「そう思う」「ある程度そう思う」と回答した割合は85%であり、多くの学生は大学教育を経て自分の成長を実感していることがわかった。

 「授業への出席」について、大学2年生では、約3分の2の学生が週16時間以上、約4割の学生が週21時間以上であるなど、授業への出席時間が長い一方で、予習・復習・課題など授業に関する学習は週5時間以下が約6割となっている。

 最終学年の学生については、授業への出席時間は6割以上の学生が週5時間以下となっており、授業に関する学習も週5時間以下の学生が約8割を占めている。授業への出席や授業に関する学習時間が短い一方、約3割の学生が卒業論文・卒業研究・卒業制作に週16時間以上、約2割の学生が週31時間以上と多くの時間を費やしていた。しかしながら、最終学年の学生であっても、約4割は卒業論文・卒業研究・卒業制作を行う時間が5時間以下となっており、学習時間が極めて短い学生も一定数いることがうかがえる結果となった。

 文部科学省では、調査結果を大学・短期大学における「学修者本位の教育への転換」をするための施策の検討の参考資料とするとともに、今回明らかになった課題等を踏まえ、2025年度以降に「全国学生調査」の本格実施を進めていくという。

《木村 薫》

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