コロナ禍で一斉に広がったオンライン授業について、大学生の約4割が「教員や他学生とのやりとりがしにくい」と感じていることが2022年10月21日、文部科学省が発表した2021年度(令和3年度)全国学生調査(第2回試行実施)の結果から明らかになった。
文部科学省は、「学修者本位の教育への転換」を目指す取組みの一環として、全国共通の質問項目により学生目線から大学教育や学びの実態を把握し、大学の教育改善や国の政策立案といったさまざまな用途に活用することを目的に、国立教育政策研究所と共同で「全国学生調査(第2回試行実施)」を実施。2022年1月31日~2月28日の期間、参加意向のあった全国の大学の学部2年生および4年生と短期大学の2年生以上を対象にアンケート調査を試行実施し、11万9,372人の有効回答を得た。
大学に入ってから受けた授業について、項目ごとにその頻度を聞いたところ、「授業内容の意義や必要性の説明」89%、「小テストやレポート等の課題提出」95%等については、「よくあった」「ある程度あった」という割合が高かった。一方、「適切なコメントが付されて提出物が返却された」46%、「おもに英語で行われる授業」22%については低い割合に。フィードバックがないことで、理解度や間違いの認識を正しく行えていないと学生が感じている側面もあり、「学修者本位の教育」の実現という観点からも課題であると捉えている。
大学教育を通じて身に付いたと思う知識や能力については、「専門分野に関する知識・理解」86%、「幅広い知識、ものの見方」84%、「文献・資料を収集・分析する力」79%等について「身に付いた」「ある程度身に付いた」という割合が高かった。一方で、「外国語を使う力」29%、「統計等データサイエンスの知識・技術」51%は半数程度にとどまり、これからの社会を生き抜く力については学修成果を実感できていないことがわかった。
コロナ禍で一斉に広がりを見せたオンライン授業の割合については、大学において同時双方向型オンライン授業、オンデマンド型オンライン授業共に2020年度よりも2021年度の実施率が減少。対面授業再開の動きが見られる。
オンライン授業については、場所や空間、時間的制約に捉われずに受講できる点にメリットを感じる学生が多くいる一方、同時双方向型オンライン授業については36%が「教員とのやりとりがしにくい」、42%が「他の学生とのやりとりがしにくい」と回答。オンデマンド型オンライン授業では、44%が「教員とのやりとりがしにくい」、40%が「他の学生とのやりとりがしにくい」と回答しており、明確な課題が見える結果となった。
文部科学省では、10月24日午前に「全国学生調査」に関する有識者会議(第7回)を開催。今回の結果を踏まえ、2022年度「全国学生調査(第3回試行実施)」について議論が行われた。