宇都宮文星女子高等学校は2025年9月10日、非認知能力の可視化と育成支援を目的に「EdvPath」を導入したと発表した。この取組みは県内初であり、生徒ひとりひとりの変化や学びの質をデータで把握し、学校全体で教育活動の改善を加速させる狙いがある。
宇都宮文星女子には、難関大学を目指す生徒から、義務教育段階で十分な学びを受けられなかった生徒まで、幅広い学力層の生徒が在籍している。特に後者の生徒たちは自己肯定感が低く、「自分はできない人間だ」と思い込んだ状態で入学してくることも少なくない。学校としては「来てよかったと思える学校」「自分もやればできると実感できる教育の場」をつくることを目指しているが、感覚的な評価だけでは成長を支援できたか確信を持てなかったという。
この課題を解決するため、同校の篠原孝文先生は「教育の成果を“感覚”ではなく“根拠”で語れるようにしたい」「生徒の成長を学校全体で共通認識として扱えるようにしたい」と考え、エビデンス・ベースド・ポリシーメイキング(EBPM)の必要性を感じ、ツール導入を検討した。
EdvPathの導入にあたっては、他社サービスとの比較も行われたが、多様な評価項目、現場運用に即したスピード感、手厚いサポート体制が決め手となった。特に「EdvPathは使いやすく、10分で測定・確認できる」という手軽さは、多忙な教員にとって導入のハードルを下げ、生徒の変化を継続的に追うモチベーションにもつながると考えられた。
今後、非認知能力の育成を軸に、学校の授業自体を探究的な学び(PBLなど)へと再設計していく予定。正解が1つではない問いに挑み、考え抜く力ややり抜く力(GRIT)を育む授業づくりに着手している。篠原先生は「EdvPathの活用を通して心理的安全性のある学校を目指していきたい」と語る。
これから特に大切になるのは「EIPM(エビデンス・インフォームド・ポリシーメイキング)」だと考えている。エビデンス(データ)だけに頼るのではなく、教員の経験や勘も尊重しながら、それを裏付ける形でエビデンスを“参照”し、教育方針を決めていく。このバランス感覚こそが、現代の教育に求められていると篠原先生は語る。「非認知能力の育成と学力向上の両立」「先生と生徒が同じ目線で、納得感のある学びを実現できる学校」の実現のために、EdvPathの活用は大きな一歩になるという。
10月9日には、同校の篠原先生を講師に迎え、「生成AI×教育実践」をテーマとしたオンラインセミナーを開催する。参加費無料で事前申込が必要。
◆生成AI×教育実践 最前線 ~生徒の学びと教員の働き方を変える力~
開催日時:2025年10月9日(木)18:00~19:00
開催場所:オンライン
参加費:無料
申込方法:Webサイトより申し込む