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日本語教育の基本方針改訂、一家に1枚「自然と生きる列島」に…文科相9/5会見

 文部科学省のあべ俊子大臣は2025年9月5日、記者会見を行い、「日本語教育の推進に関する基本的な方針」の改定や、学習資料「一家に1枚」の2026年度テーマが決定したことについて説明した。在留外国人が増加している状況の中、日本語教育機関認定制度の創設などを含んだ改訂を行った。

教育行政 文部科学省
あべ俊子文部科学大臣記者会見(令和7年9月5日)
  • あべ俊子文部科学大臣記者会見(令和7年9月5日)

 文部科学省のあべ俊子大臣は2025年9月5日、記者会見を行い、「日本語教育の推進に関する基本的な方針」の改定や、学習資料「一家に1枚」の2026年度テーマが決定したことについて説明した。在留外国人が増加している状況の中、日本語教育機関認定制度の創設などを含んだ改訂を行った。

 日本政府は、国内に在留外国人が増加している状況を踏まえ、日本語教育の重要性が一層高まっているとし、「日本語教育の推進に関する施策を総合的かつ効果的に推進するための基本的な方針」の改定を閣議決定した。今回の改定では、日本語教育機関認定制度の創設や特定技能育成就労の新制度の創設、外国人の日本語能力等の共通指標である日本語教育の参照枠が取りまとめられた。今後も、関係省庁と連携して日本語教育の推進を押し進める。

 文部科学省が、国民の科学技術への理解を深めるために毎年制作している学習資料「一家に1枚」。2026年度版のテーマが「身近な現象から知る地球、自然と生きる列島」に決定した。2026年は海の日制定から30周年、山の日制定から10周年であり、自然と関わりの深い年にあたる。気候変動などにより自然災害のリスクが高まっている中、国民に自然現象への理解を深めてもらうことの重要性を伝える目的があると述べた。「一家に1枚」は、2026年4月の科学技術週間に向けて制作され、その後全国の学校や科学館等に配布される予定。

 会見ではもう1点、宮城県仙台市にある特定放射光施設ナノテラスにおいて、蓄積電流400mAでの安定運転に成功したとの報告があった。通常2年かかるところを半年以上早く目標値を実現し、ナノテラスに供給する放射光の強度が2倍になるという画期的な成果をあげられたという。これにより、触媒や医薬品、次世代デバイスなどの研究開発スピードが加速されることに大きな期待が寄せられる。

 このほか、9月3日に指定宗教法人(旧統一教会)の清算に関する指針案が取りまとめられた。指針案では、相当多数の被害者がいることを考慮し、被害者への賠償にできる限り努めること、清算には相当の時間を要することなどが位置付けられたという。今後は、意見募集手続きを経て、10月にも文部科学省が指針を決定する予定とした。

 一方、長期休暇の前後に児童生徒の自殺が増加する傾向があることについての質問に対し、9月の自殺者数の統計は10月中に厚生労働省および警察庁から公表される予定であるとした。また、あべ大臣自身が小学校時代に同級生が自殺するという体験をしたことに触れ、涙ながらに「子供たちが自ら命を断つようなことは決してあってはならない」と強く訴え、引き続き関係省庁と連携しながら自殺予防の取組みに全力を尽くしたいとの考えを述べた。

 教師不足の現状に対応するため、多様な専門性を有する教育人材の確保が重要とされている。2024年末、中央教育審議会に教員の養成、採用、研修のあり方についての諮問が行われ、教職課程の内容の見直しが議論されている。文部科学省は中教審の議論を踏まえ、引き続き必要な改革を進めるとともに、教師人材の確保に向け関連する予算の確保に努めるとした。

《畑山望》

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