TOEIC Programを運営する国際ビジネスコミュニケーション協会(IIBC)は2025年9月1日、相次ぐ不正受験を受けて、再発防止策を発表した。顔写真やICチップを搭載したデジタル受験票は、2026年9月までに導入予定。
IIBCは、TOEICの試験会場で5月、中国人留学生が他人を装って受験し摘発された事件を受け、不正行為の防止をより一層強化するため、「本人確認書類の厳格化」「デジタル受験票の導入」「公式認定証の偽造防止対策」「電波検知器の導入」の4施策を段階的に導入すると発表した。
このうち、デジタル受験票は2026年9月までに導入を予定。顔写真やICチップを搭載した本人確認書類をオンラインで登録する受験票となるため、ICチップの情報と申込時の登録情報を照合することで、なりすまし防止と登録情報確認の精度向上を図る。本人確認書類は、ICチップを搭載した運転免許証、マイナンバーカードなどに限定するといったより厳格なルール化を検討している。
電波検知器については、会場での検証を開始しており、一定期間の検証を経て、一部の試験会場で導入予定。公式認定証は2023年から発行しているデジタル公式認定証に掲載しているQRコードを利用すれば、認定証が公式のものかを確認することができる。
IIBCでは6月に大規模な調査を実施。過去2年間に同様の不正に関与したとみられる受験者が803人にのぼることを明らかにした。不正受験者803人の受験資格は7月時点で剥奪などの対応を行っている。
また9月13日実施のTOEIC L&R公開テスト以降は、さらに厳格な不正防止策を盛り込んだ受験要領に改訂。申込内容に疑義がある場合は、事前に本人確認書類の提出を求めるほか、不適切な情報提供が確認された場合は、受験拒否やスコア無効化の措置を講じる可能性がある。不正行為や試験運営妨害行為が確認された場合は警察へ相談・通報。不正が発覚しスコアが無効化された場合、その理由を企業・学校・団体に通知する可能性もあるとしている。