文部科学省は2025年3月25日、学部・学科などを新設した大学や専門職大学などを対象に調査した2024年度「設置計画履行状況」の結果を公表した。調査対象校392校のうち、定員管理などで指摘を受けた大学等は158校。宝塚医療大は専任教員数が基準未満で法令違反と指摘された。
設置計画履行状況等調査は、大学等の授業科目の開設状況や教員組織の整備状況、設置計画の履行状況を調査したもの。原則、大学等が開設した年度に入学した学生が卒業する年度までの間、書面調査を実施し、必要に応じて面接調査や実地調査を行っている。
2024年度の対象校数は392校1,093学科等。このうち、設置計画の履行状況に対して指摘が付された大学等は国立7校、公立1校、私立150校の計158校。「法令違反」は1校のみで、定員管理に問題があるなどとして「是正」を付されたのが35校、「改善」を付されたのが143校だった。
「法令違反」を指摘されたのは、宝塚医療大学の和歌山保健医療学部看護学科。必要専任教員数のうち、教授数が基準を満たしておらず、文部科学省はただちに必要な専任教員を確実に補充するよう求めた。
また、「是正」が必要とされた35大学等のうち、特に一部学科の入学定員充足率が低い、北海道文教大学、日本医療大学、東都大学、聖徳大学、玉川大学、湘南医療大学、静岡理工科大学などには、入学定員のさらなる充足に努めるよう要請。対して、ヤマザキ動物看護大学、桐蔭横浜大学、名古屋商科大学などは、一部学科の入学定員充足率が著しく高いことから、収容定員の超過是正を求めた。
なお、「是正」「改善」をあわせると、大幅な収容定員の未充足が続いている大学等は81校、収容定員を超過している大学等は33校、設置計画で示された教員組織が適切に編制されておらず、学生に対する教育の質の低下が危惧される事例は20校、教員の構成が特定の範囲の年齢に著しく偏るなど、適切な教員組織が編制されておらず、教育研究の継続性が危惧される事例は27校であった。
調査結果は文部科学省のWebサイトで公開。同省は、設置計画は「社会に対する『約束』」であることを十分認識したうえで、それぞれの人材養成の目的の実現に向けて、確実に履行するよう強く求めている。