学校に寄せられるさまざまな相談やクレーム。保護者や地域からの相談に先生はどのように対応するのが良いだろうか?クラス担任として豊富な経験がある鈴木邦明氏に、学校へ寄せられるさまざまな相談に対応する際のポイントを聞いた。第219回のテーマは「GIGA端末のデータはどうなるのですか?」。
GIGA端末を用いた学習や活動が増加
新型コロナウイルスの流行によって「GIGAスクール構想」は一気に広がりました。GIGAスクール構想は2018年度から実施されていた施策なのですが、コロナによって一気にその必要性が認識され、2020年度から2021年度に全国で予算化されることとなりました。
一人一台のGIGA端末は、子供の学びを質も量もレベルアップさせたと私は感じています。「個別最適な学び」と「GIGA端末」はとても相性が良いです。多くの子供が自分の力にあった学びをしていくことができます。また、一斉授業では十分にケアをすることが難しい「落ちこぼれ」や「吹きこぼし」などへのケアがとてもしやすくなります。日本中の学校でGIGA端末を用いた学習や活動が増えています。今後も、そういった流れは変わらないと思われます。
貸与された端末のデータはどう処理されるのか?
そういった中、年度末が近づくタイミングで、子供や親が気になっていることが「GIGA端末のデータ」についてです。これには2つの意味があります。1つは「子供が作った作品や学んできたデータを今後、自分で使うことはできないのか?」というものです。もう1つは「使わなくなったGIGA端末に残ったデータの消去などはきちんとされるのか?」ということです。これはGIGA端末が「貸与」という形であることが関係しています。一部の私立学校では保護者が自費で購入する形を取っています。そのやり方であれば、データの問題などは生じにくいです。
データに関する問題の1つ目は「子供が作った作品や学んできたデータを今後、自分で使うことはできないのか?」というものです。学校や自治体によって違いがあるのですが、子供達はGoogleなどのアカウントを作って、学習活動に取り組んでいます。そういったデータは学校を卒業したタイミングで使えなくなってしまうことが多いようです。そのため、データをクラウドやUSBで保存することや個人アカウントへ移行することが必要となります。データの移行については、Googleの場合は「Google Takeout」などのツールを活用すると良いでしょう。それまでの学びのデータを今後も活用できるよう学校は最大限の努力をすべきでしょう。
もう1つは「使わなくなったGIGA端末に残ったデータの消去などはきちんとされるのか?」ということです。文科省は、GIGA端末の耐用年数について「4年」を基準としています。多くの学校で、2025年度から2026年度にかけて、1回目の導入で使っていた端末の更新の時期となります。新しい端末を導入する際にも手間はかかりますが、使い終わった端末の処分にも手間がかかります。ただのゴミとは違うのでゴミ箱に捨てて、それで完了という訳にはいきません。ある調査によると教育関係者の約2人に1人が「GIGA端末の適正な処分方法を把握していない」と回答しています。処分に関しては、さまざまな問題を抱えています。処分に関する予算の問題もあります。学校あるあるなのですが、「予算を減らすために、教師にすべて丸投げ」などになる可能性もあります。そんなことにならないことを願います。なお、処分に関しては、リネットジャパンが条件付きですが、使用済みGIGA端末の無料回収などもしています。
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