大阪大学は2025年4月より、教職員の育てる子供が小学校に入学後も家庭の状況に応じ多様な働き方を選択できる職場環境を整備するべく、勤務制度の拡充を行う。
具体的には、子供が小学校に入学すると利用ができなくなる短時間勤務制度と、子の看護等休暇制度の利用可能期間を法令を上回る小学校6年生までに拡大し、さらに障がい児については18歳に達する年度末まで利用ができるよう勤務制度を拡充する。障がいのある子を育てながら働く教職員を対象とした両制度の拡充は国立大学初だという(2025年1月同大調べ)。
大阪大学は、「いのちとくらしを守る強靭で持続可能な未来社会を切り拓く」ことを使命に、多様な人材がその能力を最大限に発揮できるよう、働き方改革を推進している。特に、仕事と子育ての両立を重要な課題と捉え、さまざまな取組を進めてきた。乳幼児期の子育てと仕事の両立に関する支援を中心に拡充させてきた一方、子供の小学校入学後に利用可能な制度は限られていた。
今回、育児・介護休業法の改正を1つの契機とし、2024年春より、教職員へのアンケート調査やヒアリング調査等を実施した。その結果、小学生を育てながら働く教職員らが、保護者の就労を前提とする保育園に子を預けていた時には生じなかった新たな課題に直面し、仕事との両立に困難を抱えていることが明らかになった。たとえば、保護者の出退勤時刻よりも子の登校時刻が遅く下校時刻が早いことや、学童保育の定員超過等による預け先の不足、平日昼間に行われる学校行事への出席などがあげられる。
また、障がいのある子を育てながら働く教職員が、仕事と子育てを両立するうえで、より深刻な課題を抱えていることもわかった。実際は、子が年齢を重ねても、常に大人の見守りが必要であり、1人で留守番をさせることは難しいにもかかわらず、学年が上がると学童保育の利用ができなくなったり、民間の放課後等デイサービスも空きがなく入所が容易ではなかったり、入所できたとしても閉所時間が早いためフルタイムでの勤務が難しい。また、通常の学校行事に加え、支援学級児を対象とした懇談会等もあり休暇が不足することなどもあるという。
今回の取組みは、民間企業等を含めても、同様の制度を整備している企業等は少ないのが現状である。しかし、障がいのある子の場合、年齢を重ねても、常に大人の見守りやケアが必要なケースも少なくないため、保護者が就業の継続をあきらめざるを得ない状況に陥ってしまう例が少なくない。大阪大学では制度導入を通して、子供を育てながら、能力を最大限発揮して働き続けられる社会の実現に貢献したいと考えている。