文部科学省は2025年2月10日、2024年の児童生徒の自殺者数(暫定値)が527人と過去最多となる見込みであることから、全国の教育機関に対し自殺予防に係る取組強化を要請した。
警察庁・厚生労働省の自殺統計(暫定値・1月29日公表)によると、2024年の自殺者数は前年の513人を上回り、過去最多となる見込みであることが明らかとなった。特に、女子小中高生の自殺未遂歴の割合が上昇していることや、自殺未遂から1年以内に自殺を図るケースが増加傾向にあり、極めて重大な状況となっている。
これを受け文部科学省は、教育委員会や学校に対し、「1人1台端末等を活用した心の健康観察」「教育相談体制の構築、校内連携型危機対応チーム・ネットワーク型緊急支援チームの設置等」「相談窓口の周知や自殺予防教育の実施等」の3点に大きく分け、それぞれ取組強化を要請した。
同省が導入推進する1人1台端末を活用した「心の健康観察」においては、児童生徒の心や体調の変化を早期に発見し、支援するツールの整備に必要な経費を地方財政措置として講じることを決定。ICTを活用したSOSの早期把握に努めるよう依頼した。
また、教育相談体制の構築や校内連携型危機対応チームの設置のほか、実際に自殺や自殺未遂が発生した場合には校内連携型危機対応チームを核に、教育委員会や専門家などと連携し、ネットワーク型緊急支援チームを立ち上げるなど、組織的に取り組むことを求めている。
相談窓口の周知や自殺予防教育の実施も強化。児童生徒が心の変化や危機に気付き、信頼できる大人に相談できる力を養うため、「SOSの出し方に関する教育」を含めた自殺予防教育を推進し、「24時間子供SOSダイヤル」やSNSを活用した相談窓口の周知も積極的に行うようお願いした。
文部科学省は2025年度予算案で、自殺予防教育の教材や指導資料を全国の学校に普及させるため、モデル地域や学校を指定し、授業支援を実施する予算を計上している。