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au PAYキャッシュレス学園祭に挑戦した高校生、業務効率化・金融教育だけではない効果

 2024年も全国各地の学校で学園祭が開催された。神奈川県立綾瀬西高校(以下、綾瀬西高校)は、キャッシュレス決済を取り入れ、さらに進化した学園祭に挑戦した。準備から学園祭当日、振返りまでをレポートする。

事例 ICT活用
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神奈川県立綾瀬西高校は、キャッシュレス決済を取り入れ、さらに進化した学園祭に挑戦した
  • 神奈川県立綾瀬西高校は、キャッシュレス決済を取り入れ、さらに進化した学園祭に挑戦した
  • 学園祭にau PAYによるキャッシュレス決済を導入
  • クラスごとに工夫をこらした店づくりをしていた
  • クラスの売上額を確認する生徒たち
  • 学園祭にau PAYサポートブースが設けられ、アプリのインストールやチャージなどを手伝ってくれる
  • au PAYサポートブースで説明を受ける生徒
  • <事後アンケート>学園祭がキャッシュレス学園祭となってどう思いましたか
  • 学園祭を担当した西川先生

 2024年も全国各地の学校で学園祭が開催された。コロナ禍は多くの学校で制限付きの実施だったが、今年は多くの学校で制限が解除され、以前のような盛り上がりをみせた学校も多いだろう。神奈川県立綾瀬西高校(以下、綾瀬西高校)は、キャッシュレス決済を取り入れ、さらに進化した学園祭に挑戦した。

 綾瀬西高校は今年(2024年)初めて、KDDIが提供する「au PAYキャッシュレス学園祭」を導入した。学園祭の支払い方法にスマホ決済サービス「au PAY」を導入する取組みで、現金管理の負担が軽減され、運営効率の向上を図ることができる。さらに、生徒に実践的な金融リテラシーを育む金融教育としても活用できる。

 綾瀬西高校は、1年生9クラス、2年生9クラス、3年生9クラス、計881人の生徒が学ぶ、神奈川県中部に位置する県立高校だ。新型コロナウイルスの影響で一昨年(2022年)まで校内のみの縮小開催となっていた学園祭が、昨年(2023年)ようやく保護者や外部の人も招いて通常開催されたという。そして今年、au PAYキャッシュレス学園祭を導入し、さらに進化した学園祭を開催。準備から学園祭当日、振返りまでを取材した。

au PAYを使って支払いをするようす

学園祭での課題だった煩雑な現金管理

 学園祭開催までの準備期間において、KDDIによる出店者説明会が行われた。出店者説明会には、各クラスの代表生徒が出席し、店舗登録の仕方や、価格登録、決済方法などについて事前説明を受けた。出店者説明会後、学園祭担当の西川先生と、学園祭実行委員長の西岡さん(3年生)に話を聞いた。

 同校の学園祭は昨年まで、現金で金券を販売し、物販では金券をやり取りするという方法で運営されていた。毎年、10人ほどの教員を経理業務の担当に割り当て、
 ・金券の作成
 ・返金・おつりのための小銭の準備
 ・学園祭当日の金券販売と返金対応
 ・学園祭後の金券とお金の確認
などを行っていた。事前に準備する小銭は数十万円にのぼり、事前に銀行へ小銭の用意をお願いし、それを受け取りに行くという業務も必要だった。数十万円の小銭の運搬はとても重く、非常に大変だったという。

新たな挑戦でより良い学園祭を目指す

 au PAYキャッシュレス学園祭を導入した理由について、西川先生は「コロナ禍で縮小開催されていた学園祭が、少しずつ従来の形に戻り『次は何に挑戦しようか』と考えていたところ、au PAYキャッシュレス学園祭が目に留まった」と話す。

 コロナの影響もあり、一般社会でもキャッシュレス決済が急速に広がり始め、学園祭にもキャッシュレス決済を導入できれば、現金管理の業務が効率化できると思った。また、生徒がより現実に近い形でお店を運営でき、金融について学ぶ機会にもなるため、良い刺激になるのではないかと考えたという。

 導入にあたり、教職員や教育委員会への説明、KDDIとの打合せは実施したが、従来のような金券の作成、小銭の用意・保管といった業務は不要になった。教職員への説明を行う中で、反対する意見もあがったが「現金管理の手間がなくなる学園祭の良さを実感するのは、実際に学園祭が終わってからになるだろう」と西川先生は語った。

 学園祭ではクラスで焼きそば屋を出店するという西岡さんは、出店者説明を聞いて「店舗や価格の登録は、簡単そうなので自分たちでできそうだと思いました。パスワードの設定等で、先生とのやり取りは発生すると思いますが、昨年よりは作業や人員を削減できそうな気がします」と安心したようす。昨年は、金券を受け取る係、金券を台紙に貼る係、お客さんを案内する係などで、多くの人員が必要だったが、キャッシュレスになる今回は、お店の運営もシンプルになりそうだと期待する。

 また、学園祭当日の売上額の把握についても「au PAYキャッシュレス学園祭では、売上額が一目でわかると聞いているので、お店を運営しながら見るのが楽しみです。ほかのクラスの売上額とも比較できるようなので『クラスみんなで頑張るぞ』というモチベーションにもなると思います」と西岡さんは語った。

キャッシュレスで人員減、学園祭を楽しむ時間が増えた

 同校の学園祭である「青綾祭」は9月27日・28日の2日間にわたって開催された。初日に訪問したところ、校門の正面にKDDIの「au PAYブース」が設けられていた。ここでは、au PAY決済の設定のサポートだけでなく、チャージカードの販売も行っていた。

学園祭にau PAYサポートブースが設けられ、アプリのインストールやチャージなどを手伝ってくれる

 KDDIの染谷氏によると、初日は学園祭が始まる少し前の時間から、多くの生徒がチャージカードを購入していったという。コンビニなどで事前にチャージしてきた生徒も多かったようだが、クレジットカードや銀行口座を設定しなくても現地でチャージできる方法があるのは、保護者にとっても安心できるサービスだと感じた。

 お店を訪問すると、QRコードを読み取りやすいように段ボールを使って少し高く設置していたり、QRコードと一緒にキャッシュレス決済の手順をわかりやすく記載したりと、各クラス工夫をこらしていた。店頭にはau PAYのフラッグなどが飾られており、とても賑やかな印象を受けた。

クラスごとに工夫をこらした店づくり

 生徒に話を聞くと「昨年までは金券のやり取りが発生していたため支払いだけでも行列ができていましたが、今年は支払いの行列がなく、スムーズに運営できています」「人手が少なくて済むので、ほかのクラスのお店を楽しむ時間が昨年よりも増えました」など、キャッシュレスになったメリットを感じているようすだった。

 また、学園祭に初めて参加した1年生の生徒は「学園祭を迎える前は不安でしたが、先生がKDDIの方に聞いたことを丁寧に教えてくれたり、友達にも教わったりしているので不安はなくなりました」「学園祭が始まってすぐの時間帯は受付や会計で戸惑うこともありましたが、すぐに慣れました。係を交代するときには、前の時間帯の友達が会計のやり方を教えてくれたので、スムーズに交代できました」というように、生徒同士が協力しあいながら運営していた。

 本部ブースにあるパソコンでは、各クラスの売上額が表示されており、生徒が自分のクラスの売上額を確認しに来る姿があった。画面を見ながら「明日どうしようか?」「金額を変更してみては?」などの会話も聞かれ、生徒たちが意欲的に、楽しんで学園祭に参加しているようすがうかがえた。

クラスの売上額を確認する生徒たち

 西川先生は「キャッシュレス決済での学園祭運営に関しては、KDDIの皆さまにフォロー・サポートをしていただいているので、問題なく進行できていると思います。昨年までは大変だった現金の管理も、準備や管理の業務が発生せず、安心して当日を迎えられました。生徒たちも楽しんで参加していて、良かったと思います」と話す。

 例年、金券販売・返金には大行列ができていたというが、今年はその心配もなくなり、ほかのところに目を向けられるようになったという。「売上額がリアルタイムにわかるので、1日目の売上額を各クラスで確認して、2日目に生かしてほしいと思います」と、西川先生は翌日への意気込みを語った。

8割以上が「導入して良かった」と回答

 学園祭後の11月、KDDIによる振返り会が開催された。報告会では、学園祭の売上総額や各クラスの売上額などを、資料を見ながら振り返る。同校の学園祭では2日間で、1,314人がau PAY決済を利用し、その額は約143万円にのぼる。au PAYブースで販売したチャージカードは、2日間で約50万円を売りあげた。今回の学園祭を機に、新たにau PAYをダウンロードした人の割合は、全体の74%と、来場者の多くがau PAYを初めて利用したこともわかったが、au PAYサポートブースのおかげで大きな混乱もなく終えることができたという。

 キャッシュレス学園祭を実施したことについて、事後アンケートで生徒の50%が「非常に良かった」もしくは「良かった」と回答、「普通」という回答も30%にのぼり、多くの生徒が肯定的だった。教員は83%が「非常に良かった」と回答している。具体的には「会計がスムーズになった」「会計処理が楽だった」など、お金の管理に関する理由が多く、報告会でも生徒から「学園祭が終わった後の計算作業がとても楽だった」という声があがっていた。

<事後アンケート>学園祭がキャッシュレス学園祭となってどう思いましたか

 教員からは「現金管理の業務がなくなったのが、手間もストレスもなくなり、非常に良かった」という声や「売上額がリアルタイムにわかるので、1日目の終わりに振返りをしたことで生徒のやる気が増し、翌日は値下げしようかなどと生徒たちが自発的に考えるようになった。キャッシュレス決済だからできることだと感じた」「クラスごとの売上額を一目で比較できるので、生徒の間で『もう少し頑張れば1位になれそうだね』という会話が生まれていた」というポジティブな感想が多かった。

 学園祭前には保護者からは問合せや反対意見もあったというが、理解してもらえるように説明を行い、学園祭当日は特にクレームはなかったという。また、外部の評価機関である学校運営協議会からも良い評価が得られたと西川先生は語る。「実施前は不安に思う方も多かったのだと思いますが、実際にキャッシュレスの学園祭を経験してみると、皆さん便利だと感じてくださったのだと思います」(西川先生)。生徒たちが、積極的かつ主体的に取り組むことができたau PAYキャッシュレス学園祭は、現金管理の効率化や金融教育だけではない、生徒の自信につながるという効果もあったようだ。


 学園祭前の出店者説明会で「現状維持は衰退と同じ、だから新しい挑戦をしていきたい」と語る西川先生の言葉が印象的だった。学園祭初日はあいにくの空模様だったが、お店の運営に真剣に取り組む生徒の姿は自信にあふれており、とても晴れ晴れとした表情に感じられた。au PAYキャッシュレス学園祭の経験を通じて、生徒が将来を考えるきっかけになることが期待される。急速に普及しているキャッシュレス決済の、教育現場での活用に注目していきたい。

【学校担当者専用】問合せはこちら
《外岡紘代》

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