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GIGAスクールサポーター75%以上が未配置…公立教頭会調査

 GIGAスクール構想から4年以上が経過する中、学校現場におけるICT環境整備の初期対応を行う「GIGAスクールサポーター」や、日常的に教員のICT活用支援を行う「ICT支援員」の活用は依然として進んでいないことが、全国公立学校教頭会の調査結果から明らかになった。GIGAスクール構想の推進が、いまだにICT等担当職員として業務を割り振られた教員に頼らざるを得ない状況であることが推測される。

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GIGAスクールの校内運用の担当
  • GIGAスクールの校内運用の担当
  • GIGA端末やネットワークの修理依頼等、不具合への対応
  • GIGAスクールサポーターの配置状況
  • ICT支援員の配置状況

 GIGAスクール構想から4年以上が経過する中、学校現場におけるICT環境整備の初期対応を行う「GIGAスクールサポーター」や、日常的に教員のICT活用支援を行う「ICT支援員」の活用は依然として進んでいないことが、全国公立学校教頭会の調査結果から明らかになった。GIGAスクール構想の推進が、いまだにICT等担当職員として業務を割り振られた教員に頼らざるを得ない状況であることが推測される。

 全国公立学校教頭会調査は、副校長・教頭のおかれている現状を的確に把握し、教育現場の課題解決などに役立てることを目的に実施。今回は、「教員不足問題の現状」「副校長・教頭マネジメント支援員」「GIGAスクール構想への対応」の3点を緊急課題として取り上げ、調査を行った。対象は全国公立学校教頭会の全会員。2024年6月から7月にかけて実施し、回答率は79.53%(2万1,794人)。

 本記事では、3点目の「GIGAスクール構想への対応」について取り上げる。GIGAスクールの校内運用については、小学校の81.1%、中学校の85.0%が「ICT等担当職員」が担当していると回答。「ICT等担当職員」が「GIGAスクールサポーター」であるのか、「ICT支援員」であるのか、あるいは校務分掌上割り当てられた教員であるのか、この問いだけでは正確に把握できないが、以降の調査結果からGIGAスクールサポーターやICT支援員の配置状況を推測するに、大半は校務分掌上の役割を担った教員であると推測されるという。

 GIGA端末やネットワークの修理依頼等、不具合への対応については、「ICT等担当職員」が担当する割合が小学校51.5%、中学校57.3%となり、小中学校ともに26%以上が副校長・教頭が対応していると回答。今後、端末の入れ替えや次世代校務DXの整備なども求められる中、いまだ、現場の教職員、副校長・教頭などの負担が大きい状況がうかがえる。

 学校におけるICT環境整備の初期対応などを行うICT技術の知見を有する専門人材「GIGAスクールサポーター」は、小学校75.0%、中学校75.8%が「配置なし」とした。GIGAスクールサポーターを常勤で配置している学校は1%未満とほとんどなく、配置なしの割合が前年度より微増。複雑化するGIGAスクールの環境整備を専門人材に頼ることができない学校が4校中3校にのぼっている。

 一方、授業計画の作成支援やICT機器の準備・操作支援など、日常的に教員のICT活用支援を行う「ICT支援員」は、小中学校ともに7割ほどが何かしらの形態で「配置している」と回答。配置の割合は、前年度に比べ微増した。

 勤務状況をみると、「常勤」は小学校0.8%、中学校1.0%にとどまり、毎日支援を受けられる学校はごく僅かであることがわかる。もっとも多いのは「月に数回」で、小学校46.4%、中学校44.4%。全国公立学校教頭会は、現状、「ICT支援員」が児童生徒および教職員のICT活用能力の向上に寄与しているとはいえないと分析。GIGAスクールサポーター、ICT支援員の活用の仕方やその必要性についてもあらためて見直す時期にきているのではないか、と指摘している。

 調査結果は、全国公立学校教頭会のWebサイトに掲載されている。残る2つの緊急課題「教員不足問題の現状」「副校長・教頭マネジメント支援員」については別記事にて紹介する。

《畑山望》

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