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学校事故の対応指針、改訂案を公表…報告徹底求める

 文部科学省は2024年2月27日、「学校事故対応に関する指針」の改訂案を公表した。学校の管理下で発生した事故について、学校設置者の責務を明確化し、国への報告の徹底を求めている。改訂後の指針は、学校や学校設置者などに周知を図っていく。

教育行政 文部科学省
学校事故対応に関する指針 改訂版(案)概要
  • 学校事故対応に関する指針 改訂版(案)概要
  • 学校事故対応に関する指針 改訂版(案)概要

 文部科学省は2024年2月27日、「学校事故対応に関する指針」の改訂案を公表した。学校の管理下で発生した事故について、学校設置者の責務を明確化し、国への報告の徹底を求めている。改訂後の指針は、学校や学校設置者などに周知を図っていく。

 「学校事故対応に関する指針」は2016年策定。2022年に閣議決定された「第3次学校安全の推進に関する計画」において、被害児童生徒や家族に配慮した支援が十分に取られていない事案や、国に報告されていない死亡事故が指摘されたことを踏まえ、指針の見直しに向けて検討を開始。改訂版を取りまとめ、2月27日の「学校安全の推進に関する有識者会議」で示した。

 指針の対象とする事故は、原則として学校の管理下で発生したもの。登下校中に発生した事故も対象に含む。幼稚園や認定こども園における事故、いじめの重大事態、児童生徒などの自殺、学校給食における食物アレルギー事故事案については、一義的にそれぞれの指針などに基づいた対応となる。

 改訂版では、国への一報を求める事案として、死亡事故に加え、意識不明など児童生徒の命に関わる重大な事故を追加。意識不明(人工呼吸器を装着、ICUに入るなど)、身体の欠損(歯を含む)、身体機能の喪失をともなう事故など、重篤な事故の報告も求めている。

 都道府県などの担当課は毎年度、都道府県内の学校管理下で発生した事故の基本調査や詳細調査から、事故原因・傾向、再発防止策などの事故状況を取りまとめ、国に報告。国は、蓄積した事故情報などから教訓とすべき点を整理し、学校設置者や都道府県担当者に周知するとしている。

 学校設置者が詳細調査に移行すべき事案の考え方には、「事前の安全管理体制に十分でない点が認められる」「事故発生直後の対応の中に適切ではない点が認められる」「被害児童生徒の保護者の要望がある」などをあげている。

 被害児童生徒の保護者への支援については、保護者と学校の双方にコミュニケーションを取ることができ、中立な立場で事故の対応を支援する「支援担当者」の設置を追記。継続的な支援が必要になるため、複数人のチームで対応することも考えられると記載している。

 今後は、指針の実効性を高めるために学校、学校設置者、都道府県担当課向けに取組みの確認用チェックリストを作成。理解促進を図るため、学校設置者や学校向けの研修会実施、周知用資料の作成・提供などを予定している。

《奥山直美》

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