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【相談対応Q&A】宿題に生成AIを使いたい

 クラス担任として豊富な経験がある鈴木邦明氏に、学校へ寄せられるさまざまなクレームに対応する際のポイントを聞いた。第163回のテーマは「宿題に生成AIを使いたい」。

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 学校に寄せられるさまざまな相談やクレーム。保護者や地域からのクレームに先生はどのように対応するのが良いだろうか?クラス担任として豊富な経験がある鈴木邦明氏に、学校へ寄せられるさまざまなクレームに対応する際のポイントを聞いた。第163回のテーマは「宿題に生成AIを使いたい」。

年齢や状況に合わせて、生成AIの扱い方を学ぶ

 ChatGPTをはじめとした生成AIが社会のさまざまな場面で使われるようになってきています。学校も社会の一部であり、生成AIなどの影響が出てきています。私はChatGPTなどの生成AIを学校で使っていくことには肯定的な立場です。今後の社会の状況を考えると、明らかに誰もが関わる必要があるものだからです。

 実際に学校でChatGPTなどの生成AIを扱っていく際には考えるべきことがいくつかあります。将来、必要になるからと言って、とにかく使わせるというやり方は間違っているでしょう。年齢や状況に応じて、扱い方をきちんと学んでいくことが大切になります。

変化を恐れず新しいものに関わっていく

 ところで、学校という組織は変化をあまり好みません。そういったこともあり、新しいものが世の中に出てきた時になかなか採用しない傾向にあります。タブレット/PCの採用についてがとてもわかりやすい例になります。世の中にはタブレット/PCが普及し、人々の生活の中で普通に用いられるような状況になっても、学校ではなかなか1人1台端末にはなりませんでした。新型コロナウイルスという非常に衝撃的なできごとがあり、結果として一気に普及が進みました。もし、新型コロナウイルスの流行がなかったら、現在のようなGIGA端末の普及はできていなかったのではと私は感じています。

 タブレット/PCの例を出しましたが、学校ではほかにも多くのことで「現状維持」の考え方をすることが多いです。そういった組織において「ChatGPTなどの生成AI」はまるで「化け物」のような感じで捉えられているのかも知れません。得体の知れないものであり、できるだけ関わり合いを持ちたくないものという感じでしょうか。

 先ほども書きましたが、これからの暮らしでは「ChatGPTなどの生成AI」と関わることなしに生きていくことはできません。これから社会に出て働き、暮らしていく今の子供たちにとっては、必須のアイテムです。そういったものに対し、教師の現状維持意識や不安などの理由で、関わりを持たせないということはやはり間違っているでしょう。

生成AIの使い方について丁寧に取り組む

 学校の授業や家庭での宿題においてChatGPTなどの生成AIを活用していく際には、使い方を丁寧に取り組んでいく必要があります。そういった部分を適当にしてしまうと、間違った活用などにつながります。その時点でもそうですし、将来的にもトラブル発生の可能性が出てきます。これはChatGPTなどの生成AIなどだけでなく、タブレット/PCの扱い方も同様です。今の時代においてタブレット/PCは必須の道具です。その便利な道具の扱い方は年齢や状況に応じて、丁寧に行っていく必要があります。

 GIGA端末を使っていくとSNSいじめなどがあるからなるべく使わせない方が良いのではという意見を耳にすることがあります。この考えは間違っていると私は思っています。GIGA端末が悪い訳ではないでしょう。いじめが発生する状況が悪いのであり、GIGA端末があってもなくてもいじめは発生していていたと考えることができます。

 ChatGPTなどの生成AIを子供が活用していくと、色々なトラブルが発生します。そういった経験も含めて学びなのだと思います。現在の大人(教師や親)は、自分たちが子供の頃にはこういったものが存在していませんでした。そういったこともあり、うまく関われず、臆病になる大人もいます。はじめにも書きましたが、大人が臆病になり、子供の学びの機会を制限してしまうことは本当に残念なことです。大人もチャレンジしながら子供の学びを促すようなことができることが望ましいでしょう。

 本企画では、読者の皆さまからの質問を受け付けています。下記のボタンをクリックして表示されるフォームより送信ください。実際に学校へ寄せられた相談のほか、保護者が学校へ伝えた相談など、鈴木先生に対応方法を聞いてみたい相談事例を募集します。

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《鈴木邦明》

鈴木邦明

帝京平成大学 人文社会学部児童学科 准教授。1971年神奈川県平塚市生まれ。1995年東京学芸大学教育学部卒業。2017年放送大学大学院文化科学研究科修了。神奈川県横浜市と埼玉県深谷市の公立小学校に計22年間勤務。2018年からは帝京平成大学において教員養成に携わっている。「学校と家庭をつなぐ」をテーマに保護者向けにも積極的に情報を発信している。

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