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子供たちの対話を政策形成過程に反映する方法…文科省調査研究

 文部科学省は2023年10月9日、子供たちによる「対話」を政策形成過程に反映する方法に関する調査研究事業の結果を取りまとめ公表した。学校における対話ならではの強みや有効と考えられうる方策や工夫、留意すべき点の抽出を目指している。

教育行政 文部科学省
中学校の対話のようすをグラフィックレコーディングしたもの(一部)
  • 中学校の対話のようすをグラフィックレコーディングしたもの(一部)
  • 小学校の対話のようすをグラフィックレコーディングしたもの(一部)
  • 小学校におけるアンケート結果(一部)
  • 中学校におけるアンケート結果(一部)
  • 中学校におけるアンケート結果(一部)
  • 子供たちによる「対話」を政策形成過程に反映する方法に関する調査研究事業概要7

 文部科学省は2023年10月9日、子供たちによる「対話」を政策形成過程に反映する方法に関する調査研究事業の結果を取りまとめ公表した。学校における対話ならではの強みや有効と考えられうる方策や工夫、留意すべき点の抽出を目指している。

 同事業は、子供同士の話し合いによって、学校に関する課題を見つけ提案し、強みや有効な方策、工夫、留意すべき点を抽出し、より良い「学校」を実現するための文部科学省委託調査研究(委託機関:三菱UFJリサーチ&コンサルティング)。「対話の企画」「対話」「振返り・分析」の3段階で調査研究を構成。小中学校を各1校ずつ抽出し、130名程度の児童生徒に対して2度の対話を実施した。

 小学校は「学校をよくしよう会議」、中学校は「学校のこれからを話す全校会議」と名付けられた会議を実施。その結果、元々もっていた意見が変化したり深まり、「学校のそもそもの問題」「学校を変えるアイデア」など多くの意見があがったという。

 たとえば「学校のそもそもの問題」には、「不登校の人がいる」「人によって学びたいこと・学ぶスピードは違う」「休み時間が自由でない(ゲームが出来ない)」「運動が苦手な人は楽しめない行事もある」など。「学校を変えるアイデア」には、「不登校の人が来やすく入りやすいクラスにしたい」「体育や副教科を選択式にしてほしい」「昼寝時間を作れば集中力がアップできると思う」「行事を選択式にしてほしい(自分の得意なことを活かせる行事がいい)」など、子供の視点ならではの意見が得られた。

 対話事後に実施したアンケートでは、「質問自体の意味をじっくり考えたい」小学生は、第1回70.9%から第2回は87.8%に増加(「かなり思う」「多少は思う」の合算)。中学生では、第1回対話後の意見変容は、「かなりあった」「多少あった」をあわせて81.1%にのぼった。また、「他人の意見を自分の考えに取り入れることができる」割合は、第1回88.4%から第2回は95.2%へ増加、「さまざまな見方で考えることは楽しい」割合は第1回88.4%から第2回100%へと増加した。

 今回の調査研究では、人前で意見を言うことになるべく全員が参加できる対話の場の構築を試行。積極的な層からは、学校での生活などに意見を言うことに楽しみを感じる一方で、積極的でない層にとっては心理的に安全なものではなく、対話の相手などにより大きく異なり、緊張感をもつときもあることがわかった。また、さまざまな立場が参画するからこそ得られる多様な視点からの意見や、対話のテーマに対する理解が深まることでさらなる意見を生み出される可能性もうかがえたという。

 また今後に向けて、同様の取組みを行う際は、「対話を含む事業の目的」「対話を含む事業の結果」をどのように活用したいかの見通しを事前に言語化する必要があるとしている。

《川端珠紀》

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