大学ファンドを通じて世界最高水準の研究大学の実現を目指す「国際卓越研究大学」について、文部科学省は2023年9月1日、東北大学を初回の認定候補に選んだと発表した。助成開始は2024年度(令和6年度)の予定。2024年度中には、次回の公募開始も予定している。
「国際卓越研究大学」は、世界トップレベルの研究などが見込まれる大学を認定し、10兆円規模の大学ファンドを活用して支援する新制度。10校から申請があり、このうち候補を東京大学・京都大学・東北大学の3校に絞り込んでいた。
9月1日に会見した文部科学省の永岡桂子大臣は、国際卓越研究大学の認定などに関する有識者会議(アドバイザリーボード)の審査状況を報告。8月30日の有識者会議で、東北大学について「一定の条件を満たした場合に認定する」という留保を付して、認定候補とすることが適当との判断に至ったと説明した。
東北大学の国際卓越研究大学研究等体制強化計画では、3つのコミットメント「未来を変革する社会価値の創造」「多彩な才能を開花させ未来を拓く」「変革と挑戦を加速するガバナンス」のもと、全方位の国際化など6つの目標を達成するため、19の戦略を提示。骨太の研究戦略に基づく卓越性の追求、国際性・開放性を基軸とする大学院変革など、体系的な計画や明確な戦略を示し、評価された。
今後、東北大学では国際卓越研究大学法に基づく認定・認可に向け、アドバイザリーボードが付す条件を踏まえた体制強化計画の磨き上げや合議制の意思決定機関の設置などのガバナンス変更準備が行われ、アドバイザリーボードで継続的に確認していくという。
永岡大臣は「今回の公募では、10大学から意欲的な提案があった。多様で重みのある研究大学群の形成に向け、文部科学省として対話を継続するとともに各種事業や規制緩和を通じて各大学の挑戦を後押ししてまいりたい」と語った。
候補認定を受け、東北大学の大野英男総長は「本学が申請した変革への意思や体制強化計画が評価され、国際卓越研究大学の認定候補として選定されましたことは、大変光栄に思います。世界をリードする研究大学を目指し、最終的な認定に向けて全学一丸となって引き続き力を尽くして参ります」とのコメントを発表した。
次回の公募は、大学ファンドの運用状況などを勘案し、初回の国際卓越研究大学の認定後、2024年度中に開始を予定しているという。
文部科学省Webサイトでは、アドバイザリーボードによる審査の観点、10大学の審査の概要やそれに対する意見なども公表している。