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【相談対応Q&A】夏休みに学校を開放してほしい

 保護者や地域からの相談に先生はどのように対応するのが良いだろうか?クラス担任として豊富な経験がある鈴木邦明氏に、学校へ寄せられるさまざまな相談に対応する際のポイントを聞いた。第138回のテーマは「夏休みに学校を開放してほしい」。

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 学校に寄せられるさまざまな相談やクレーム。保護者や地域からの相談に先生はどのように対応するのが良いだろうか?クラス担任として豊富な経験がある鈴木邦明氏に、学校へ寄せられるさまざまな相談に対応する際のポイントを聞いた。第138回のテーマは「夏休みに学校を開放してほしい」。

夏休みの学校での取組み

 夏休みに学校で何らかの取り組みをしている所があります。小学校などで以前からよく見られたものとしては「水泳教室(プール開放)」があります。主催がどこなのか(学校、PTA、自治体など)によって取り組み方は変わってきます。

 近年、「勉強教室」を実施している学校もあります。1学期の補習的な内容に取り組んだり、自由研究などの夏休みの宿題などに取り組んだりしています。親は学区を越えて、さまざまな情報が入ります。隣の学校でやっていることやニュースなどで取り上げられている学校を目にして、自分の子供が通っている学校でも色々としてほしいというリクエストが来ることがあります。

 親にとって、夏休みなどの長期休業の期間は色々と悩ましい時期です。両親が共働きの場合も、そうでない場合も、学校の無い長い時間をどのように子供に過ごさせるのかということは重要なことです。そういった状況なので、学校が何らかの形でイベント(プール、勉強教室など)を実施することは親から好意的に受け止められています。そういった親の要望もあり、勉強教室などを実施する学校が増えているのが現状です。

学校以外の組織を巻き込む

 ただ、現在の学校は非常に多忙な状況です。子供や親にとって良いからと言って、何でも増やしていくのは学校のあり方を考えた時、適切ではないのでしょう。こういった状況において良い形だと思われるものが「学校以外の組織が関わること」です。中学校の部活動がにおいて外部講師が関わることなどが行われています。そういったやり方を部活動以外のものでも行っていくやり方です。先ほども例にあげた夏休みの「水泳教室(プール開放)」も「勉強教室」も、学校の教員が主体となって取り組むのではなく、それ以外のところ(人)が主体となって取り組みます。学校の施設(プール、教室など)を使うのですが、対応する人は学校以外の人というやり方です。学校教育という枠組みではなく、社会教育の枠で取り組むものです。

 社会教育法第44条では「学校の管理機関は学校教育上支障がないと認める限り、その管理する学校の施設を社会教育のために利用に供するように努めなければならない。」また学校教育法第85条では「学校教育上支障のない限り、学校には、社会教育に関する施設を附置し、又は学校の施設を社会教育その他公共のために利用さることができる。」と記されています。

 東京都杉並区にある和田中学校では、20年ほど前から学校の活動を外部に開放し、取り組んでいます。「ドテラ(土曜日寺子屋)」や「夜スペ」などの学習支援を「和田中学校地域本部」が中心となって行われています。公立学校における成功例としてよく知られています。

 東京都三鷹市では、「学校3部制」という構想を掲げています。第1部は学校教育、第2部は放課後の学びや遊び場、第3部は生涯学習、スポーツなど大人の学びや集いの場とし、時間帯ごとに異なる世代が活動し施設を最大限に活用しています。

 先にあげたように色々な自治体での成功事例があります。そういったものを参考にしながら、これからの時代にあった取り組みを進めていくとよいでしょう。

 本企画では、読者の皆さまからの質問を受け付けています。下記のボタンをクリックして表示されるフォームより送信ください。実際に学校へ寄せられた相談のほか、保護者が学校へ伝えた相談など、鈴木先生に対応方法を聞いてみたい相談事例を募集します。

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《鈴木邦明》

鈴木邦明

帝京平成大学 人文社会学部児童学科 准教授。1971年神奈川県平塚市生まれ。1995年東京学芸大学教育学部卒業。2017年放送大学大学院文化科学研究科修了。神奈川県横浜市と埼玉県深谷市の公立小学校に計22年間勤務。2018年からは帝京平成大学において教員養成に携わっている。「学校と家庭をつなぐ」をテーマに保護者向けにも積極的に情報を発信している。

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