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【相談対応Q&A】PTAの運営方法を見直してほしい

 クラス担任として豊富な経験がある鈴木邦明氏に、学校へ寄せられるさまざまな相談に対応する際のポイントを聞いた。第129回のテーマは「PTAの運営方法を見直してほしい」。

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 学校に寄せられるさまざまな相談やクレーム。保護者や地域からの相談に先生はどのように対応するのが良いだろうか?クラス担任として豊富な経験がある鈴木邦明氏に、学校へ寄せられるさまざまな相談に対応する際のポイントを聞いた。第129回のテーマは「PTAの運営方法を見直してほしい」。

PTAの運営に変化

 4月の半ばから下旬にかけて新しいクラスになって初めての授業参観・懇談会(保護者会)が行われます。教員の立場からすると、それまでに授業や学級運営がある程度の形になっていればと考えていると思います。

 親の立場からすると、新しい担任やクラスの子供を見るのは楽しみなのですが、気掛かりなこともあります。それは「PTAの役員決め」です。私自身、教師として、役員決めの場の司会をしたり、決まらずに色々な保護者に連絡をしたりしたことがありますし、保護者の立場として、決める場にいたこともあります。重苦しい空気だったのを今でも覚えています。

 PTAの運営方法の見直しについては、私が教員になった20数年前からずっと話題になっていたことでした。ただそれがこの数年は一気に動き出してきているように私は感じています。いくつか要因があります。その1つは「ネットの活用」でもう1つは「新型コロナウイルス」です。

 「ネットの活用」に関しては、ネットの便利なツールが出回るようになることで、これまでとはPTAの仕事の取組み方が変わってきてことなどが関係しています。後述するコロナなども影響し、PTAの会議がオンラインで行われることもありました。会社などで使われている便利なアプリなどをPTA活動でも用いることもありました。そういったことがきっかけとなり、これまでとは違った形のPTAを目指す動きが生じています。

 また、「新型コロナウイルス」に関してもPTA活動に影響を及ぼしました。日本においてコロナが流行し、日本中の学校が休校になった2020年度は、PTA活動もほとんどが実施できませんでした。それまでは何となく続けていた行事や仕事(役割)を見直すきっかけとなりました。コロナ前に例年通りで取り組んでいた行事や仕事(役割)が無くなったり、縮小したりした形でも十分なのではないかと感じた人が多かったということです。

 上に書いたようなことをきっかけとして、PTAのあり方を見直そうという流れになっていった学校もありました。それに伴い、マスコミなどで取り上げられる機会も増えたように思います。PTAは規約上「任意の加入」のはずなのですが、それが「全員加入(希望すら取らない)」となっている学校もありました。また、PTAにおいては、教員も「T」という立場で構成員の一部です。ただ、主導するのは保護者(P)であるPTA役員です。実際の活動においては、PTAの役員を学校行事の際の仕事を担当してもらったり、PTAの予算を学校の教育活動に使ったりということもあります。そういったこともあり、学校(教員)としても関係無いとは言えない問題です。

PTAの運営方法を見直すには

 実際に、PTAの運営方法の見直しについて、学校(教員)に訴えがあった場合、学校として話を聞くと共に、その保護者に対して、PTAの本部役員(会長、副会長など)にそういったことを伝えるように言うのが良いでしょう。全体の場で話題にしたいのであれば、PTA総会の際、意見表明すると良いですし、あまり荒立てたくないのであれば、年度末のPTAの反省の際にそういった旨を記入すると良いとアドバイスすることも良いでしょう。

 先ほども書いたようにPTAの活動は学校(教員)が大きく関与していますが、学校だけで決められるものではありません。そのあたりが難しいものなのですが、コロナで学校の姿が変わりつつあるこのタイミングでPTAのあり方を変えていくのも良いのだと思います。

 本企画では、読者の皆さまからの質問を受け付けています。下記のボタンをクリックして表示されるフォームより送信ください。実際に学校へ寄せられた相談の他、保護者が学校へ伝えた相談等、鈴木先生に対応方法を聞いてみたい相談事例を募集します。

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《鈴木邦明》

鈴木邦明

帝京平成大学 人文社会学部児童学科 准教授。1971年神奈川県平塚市生まれ。1995年東京学芸大学教育学部卒業。2017年放送大学大学院文化科学研究科修了。神奈川県横浜市と埼玉県深谷市の公立小学校に計22年間勤務。2018年からは帝京平成大学において教員養成に携わっている。「学校と家庭をつなぐ」をテーマに保護者向けにも積極的に情報を発信している。

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