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全国学力テスト、中学1校の回答用紙紛失…回収時に伝票貼り違え

 文部科学省は2023年6月2日、4月に実施した2023年度(令和5年度)全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)において、委託業者が解答用紙などを紛失する事案が発生したと発表した。解答用紙は見つかっておらず、希望者には再度調査を実施するという。

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令和5年度全国学力・学習状況調査(中学校)の解答用紙等の紛失について
  • 令和5年度全国学力・学習状況調査(中学校)の解答用紙等の紛失について
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  • 内田洋行

 文部科学省は2023年6月2日、4月に実施した2023年度(令和5年度)全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)において、委託業者が解答用紙などを紛失する事案が発生したと発表した。解答用紙は見つかっておらず、希望者には再度調査を実施するという。

 文科省では、中学校の全国学力テストについて、業務の一部を内田洋行に委託。さらに、問題の配送、解答用紙の回収を内田洋行が運送業者(ヤマト運輸)に再委託し、4月18日に実施された中学校の解答用紙については、翌19日にヤマト運輸が各学校まで回収に行き、その場で「送り状(伝票)」を貼付したうえで、解答用紙を入れた段ボールを受け取る段取りとなっていた。

 今回、解答用紙の紛失が発生したのは、宮城県名取市立閖上(ゆりあげ)小中学校の9年生28名分。ヤマト運輸が解答用紙が入った段ボールを回収した際、「送り状」をその場で貼付せず、別の廃棄物処理業者に配送する予定の荷物に貼付するはずだった「送り状」を、誤って解答用紙が入った段ボールに貼付したという。そのため、解答用紙等が入った段ボールが廃棄物処理業者に誤配送された可能性が高いことが発覚した。

 発覚後、ヤマト運輸の社員が廃棄物処理業者や紙資材の廃棄工場に立ち入り、廃棄物として収集された紙資材をすべて確認するなど、解答用紙の捜索を行ったが発見には至らなかったという。紛失した解答用紙などには、生徒の氏名など個人情報は記載されていなかった。

 文部科学省と内田洋行は、「関係の方に多大なご心配とご迷惑をおかけし、深くお詫び申し上げます」とWebサイト上で謝罪。閖上小中学校と9年生の保護者、所管する名取市教育委員会に対して、事実関係を説明したうえで謝罪し、対象の生徒のうち、希望者には再度調査を実施して生徒に個人票を返却するとともに、学校に結果帳票を提供するとした。

 また、再発防止策として、解答用紙などの回収プロセスをあらためて見直し、学校で解答用紙を受け取る際に「送り状」の貼付を学校担当者と確認しながら行うこと、解答用紙が正しい回収先に到着したことを速やかに確認することを徹底。マニュアルにも追記し、委託業者に遵守するよう求めるとしている。

《畑山望》

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