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教職員の勤務実態、減少も依然として長時間在校

 文部科学省は2023年4月28日、2022年度教職員勤務実態調査の速報値を公表した。前回調査と比較して、小中学校ともにすべての職種で在校等時間が減少したものの、依然として長時間勤務が多い実態がみられた。教諭の平日の在校等時間は、40歳以下の減少幅が大きかった。

教育行政 文部科学省
教員勤務実態調査集計(速報値、概要版)
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 文部科学省は2023年4月28日、2022年度教職員勤務実態調査の速報値を公表した。2016年度の前回調査と比較して、小中学校ともにすべての職種で在校等時間が減少したものの、依然として長時間勤務が多い実態がみられた。教諭の平日の在校等時間は、40歳以下の減少幅が大きかった。

 文部科学省は、教師の勤務実態や働き方改革の進捗状況等を把握・分析することを目的に教員勤務実態調査を実施した。調査対象は、小学校1,200校、中学校1,200校、高校300校に勤務するフルタイムの常勤教員(校長・副校長・教頭・教諭等)。調査日程は、2022年8月・10月・11月のうち、連続する7日間。

 1日あたりの平日の在校等時間(10・11月)は、2016年度の前回調査との比較で、小学校教諭が30分減の10時間45分、中学校教諭が31分減の11時間1分。管理職では、小学校校長が14分減の10時間23分、小学校副校長・教頭が27分減の11時間45分、中学校校長が27分減の10時間10分、中学校副校長・教頭が24分減の11時間42分。すべての職種で在校等時間が減少したが、依然として長時間勤務の教師が多い状況にあった。なお、教諭には主幹教諭・指導教諭を含む。

 休日の在校等時間(10・11月)は、小学校教諭が31分減の36分、中学校教諭が1時間4分減の2時間18分。管理職では、小学校校長が40分減の49分、小学校副校長・教頭が50分減の59分、中学校校長が52分減の1時間7分、中学校副校長・教頭が50分減の1時間16分。休日もすべての職種で在校等時間が減少した。

 在校等時間の内訳をみると、平日はおもに小中学校で「授業(主担当)」「朝の業務」、小学校で「学習指導の時間」が増加。小中学校で「学校行事」、小学校で「成績処理」「学校経営」、中学校で「学年・学級経営」「生徒指導(集団)」が減少。土日では、小中学校で「学校行事」、中学校で「部活動・クラブ活動」の時間が減少した。

 8月の夏季休業中の平日20日間のうち、所定の勤務時間を勤務した日数は、小学校5.6日、中学校8.4日。夏季休業中の1日あたりの在校等時間(平日)は、小学校が校長8時間25分、副校長・教頭9時間15分、教諭8時間4分、中学校が校長8時間29分、副校長・教頭9時間19分、教諭8時間26分。いずれも10・11月と比べて短かった。

 前回調査との分析によると、教諭の平日の在校等時間は、小学校・中学校ともに特に40歳以下の減少幅が大きかった。有給休暇の取得日数は、小学校・中学校ともに増加。部活動顧問の週あたりの活動日数は減少した。

 ICTを活用した負担軽減では、成績処理や指導要録の電子化、自動採点システムの活用等について、小学校の97.1%、中学校の96.5%が取組みを実施していると回答。学校と保護者等間における連絡手段では、メールやWebアンケートフォーム等を活用したデジタル化の取組みについて、小学校の88.3%、中学校の86.7%が取組みを実施していると回答した。

 なお、今回の数値は速報値となり、2023年度末ごろ確定値に更新される予定。

《奥山直美》

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