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【相談対応Q&A】講師を呼び出前授業をしてほしい

 クラス担任として豊富な経験がある鈴木邦明氏に、学校へ寄せられるさまざまな相談に対応する際のポイントを聞いた。第115回のテーマは「講師を呼んで出前授業をしてほしい」。

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 学校に寄せられるさまざまな相談やクレーム。保護者や地域からの相談に先生はどのように対応するのが良いだろうか?クラス担任として豊富な経験がある鈴木邦明氏に、学校へ寄せられるさまざまな相談に対応する際のポイントを聞いた。第115回のテーマは「講師を呼んで出前授業をしてほしい」。

出前授業は大きく2種類ある

 近年、学校に関わる人が増えています。ボランティア等さまざまな形で、学校教育活動に関わっています。文科省も外部人材の活用について推奨しています。私が最後に勤めていた埼玉県の公立小学校では、次のようなもので外部の人が関わってくれていました。登下校の安全確保、本の読み聞かせ、昔遊び、ICT支援、野菜育て、絵手紙、校庭の環境整備、廃品回収、運動指導等です。ボランティアコーディネーターの方が間に入って調整をしてくれていました。また、JAや警察等の組織の方が関わってくれているケースもありました。

 そういったことと関連して、保護者から「講師を呼んで出前授業を開催してほしい」という相談を受けることがあります。こういった場合、次の2つのケースが考えられます。1つ目は「もっと外部の人が学校に来て授業をしてほしい」というものです。これはある特定の人を指している訳ではなく、幅広く色々な分野の人が学校に関わってほしいというものです。もう1つは「〇〇さんに来てもらって授業をしてもらいたい」というものです。これは特定の人を想定して、その人を推薦しているものです。

 1つ目の「もっと外部の人が学校に来て授業をしてほしい」というものに関しては、保護者の意見はもっともなので、可能な限りそういったことを進めていくと良いでしょう。先ほども書いたように文科省も学校に外部人材が関わることを推奨しています。専門的な知識のある人に学校に来てもらい、直接子供たちに関わってもらうことはプラスなことが多いでしょう。

 少し難しいのが2つ目の「〇〇さんに来てもらって授業をしてもらいたい」というものです。たとえば「ある分野のスペシャリストである〇〇さんを学校に呼んでほしい」というものです。私が関わっていた学校では似たようなもので、「地元からパラリンピックに参加した〇〇さんに学校に来てもらいたい」ということがありました。知り合いを通じて連絡をして、来てもらうことができました。とても良い話をしてくれ、良い学びの機会となっていました。

講師の選定には注意も必要

 ただ注意も必要です。難しいのが、推薦してくる人、推薦される人に何らかのメリットがあるような場合です。そういった経験が経歴でプラスとなる場合、講師料が目当ての場合等です。推薦される人はそれなりの経歴の人であったとしても、学校のカリキュラム等からその人が関わることが難しい場合もあります。そういった場合には断っていく必要があるでしょう。こういった話はPTA等の役職にある人等から問い合わせがあることが多いです。たとえば、PTA会長が知り合いを紹介する等のケースです。そういった場合、断りにくいこともあるのですが、学校は毅然と対応をしていきたいです。学校(教員)は、周り(保護者、地域等)に対して、良い顔をしようとする傾向があります。そういったことが結果として自分たちの働く環境を厳しいものにしてきたという経緯があります。そういったことも踏まえ、不適当だと感じるものに関しては、きちんと断っていくということが大切でしょう。

 本企画では、読者の皆さまからの質問を受け付けています。下記のボタンをクリックして表示されるフォームより送信ください。実際に学校へ寄せられた相談の他、保護者が学校へ伝えた相談等、鈴木先生に対応方法を聞いてみたい相談事例を募集します。

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《鈴木邦明》

鈴木邦明

帝京平成大学 人文社会学部児童学科 准教授。1971年神奈川県平塚市生まれ。1995年東京学芸大学教育学部卒業。2017年放送大学大学院文化科学研究科修了。神奈川県横浜市と埼玉県深谷市の公立小学校に計22年間勤務。2018年からは帝京平成大学において教員養成に携わっている。「学校と家庭をつなぐ」をテーマに保護者向けにも積極的に情報を発信している。

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