基本的には個別対応をする
宿題に関する親からのクレームや相談は多数あります。「宿題」は他のものと違い、親にとって負担感のあるものです。今回は、宿題に関し、子どもの学び、育ちを保証しながら、親と上手に付き合う方法について話題にしていきます。
宿題に関する訴えがあった時は、個別対応をすることが多くなると思います。「多い」と訴えてくる家庭が1つあったことで、ほかのすべての子どもの宿題を減らすというやり方は適切ではないと私は考えています。もちろん、多くの家庭からそういった意見が出てきて、懇談会などでも「ちょっと宿題が大変過ぎるのですが…」ということが話題になるようであれば話は別です。
少数(1人、2人)の「宿題が多い」という訴えには、個別対応をしていくことが良いでしょう。学力的に低いことで、やりきれないケースなどは、宿題の量を減らすという対応をします。ただ、基本的には通常のものをやるべきであるが、今回は苦手なものなどをケアするために特別に配慮して量を減らしていくということを親とも子どもともきちんと話をする必要があります。そういった配慮をせず、簡単に対応してしまうと、他の子どもが自分も減らしてほしいということを言い出します。また、ほかの親が裏でいろいろなことを言い出したりするようになってしまいます。
少し難しいのが「習い事が忙しいので宿題を減らしてほしい」というものです。運動系の習い事の場合もありますし、中学受験などを想定した塾の場合もあります。こういったものは人数が少なければ、先程書いたように個別対応をしますが、少なくない人数の場合は、週末(運動系の習い事が多い)の宿題は少し量を調整するなどの配慮をしていくと良いでしょう。
「自主学習」を上手に活用したい
宿題に関する問題には、「多い」というものと逆に「少ない」というものがあります。それぞれで少しずつ対応が違ってくるのですが、どちらにおいても調整弁のような役割を果たしてくれるものがあります。それは「自主学習」です。
「自主学習」は、学校によってもさまざまな言い方があるのですが、それぞれの子どもが自分でテーマを決めて宿題に取り組むタイプのものです。「自主学習」を取り入れることで、宿題が少ないと言う家庭(子どもの学力は高いことが多い)には、さらに自分で興味を広げるように挑戦するように勧めることができます。逆に宿題が多い言う家庭(子どもの学力が低いことが多い)には、少なめの量の基本的な問題に取り組ませるということができます。
私が小学校の担任をしていた時は、「基本的に取り組ませたいもの(漢字練習、計算練習など)」プラス「自主学習」という形のことが多かったです。その際、学力が高い子どもは自分の興味でどんどん進んでいきます。褒めることでさらに取り組みのレベルが高くなっていきます。教師が丁寧に関わる必要があるのは、「学力の低い子ども」です。ただ「自由に自分で考えて取り組んでみなさい」と伝えても、上手にできないことが多いです。その子どもの苦手な部分をカバーできるような問題ややり方をアドバイスしてあげることが大事になります。