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遠隔授業の「困りごと」減少、理解度は対面同等…関大調査

 遠隔授業は長所である反復学習等をうまく活用することで、対面授業と同等の学習理解度・到達度に達することが、関西大学が2022年12月7日に発表した調査結果から明らかとなった。遠隔授業での「困りごと」は各項目で減少がみられた。

事例 ICT活用
遠隔授業を受講して「困っている」こと
  • 遠隔授業を受講して「困っている」こと
  • 対面/遠隔授業の満足度/理解度/参加意欲/到達目標獲得
  • 対面/遠隔授業の学習における普段からの取組み
  • 遠隔授業で経験した活動の頻度
  • 対面/遠隔授業を通じた学力の3要素の獲得実感
  • 対面/遠隔授業を通じた学力の3要素の獲得実感
  • 対面/遠隔授業を通じた学力の3要素の獲得実感

 遠隔授業は長所である反復学習等をうまく活用することで、対面授業と同等の学習理解度・到達度に達することが、関西大学が2022年12月7日に発表した調査結果から明らかとなった。遠隔授業での「困りごと」は各項目で減少がみられた。

 関西大学は、教育改善やコロナ禍の学生の実態把握等を目的に、学生・教員に対して定期的にアンケート調査を実施している。2022年度は9月21日~10月16日に、インターネットによる無記名方式でのアンケート調査を行い、学生3,303件・遠隔授業を担当した教員159件の有効回答を得た。

 コロナ禍で遠隔授業が開始された当初は、「課題の多さ」を筆頭に学生の戸惑いが指摘されていたが、今回の調査では遠隔授業での困りごとは各項目で減少。特に「課題の多さ」は、2020年春調査と比べ53ポイントの大幅な減少がみられた。「満足度」については対面より遠隔のほうが高く、「理解度」「参加意欲」「到達目標の獲得」の3項目については大きな差異はなかった。

 「普段の授業への取組み方」は、「予習」「メモを取りながらの学習」「教員への質問」等、多くの項目で対面優位の結果となった。中でも「グループワーク等で意見を言う」は37.8ポイント差、「友だちと進捗や内容を確認しながら学習する」は12.4ポイント差と対面が大幅に優位となった。一方で、「復習」「授業中の不明点を調べたり、興味を持ったことについて学習する」は、僅差で遠隔優位となった。

 「遠隔授業で経験した活動の頻度」を尋ねたところ、「問いかけ」「フィードバック」「LMS(学習管理システム)による課題レポート」が頻繁に行われていることがわかった。一方、「質疑応答」「双方向性ある活動」の頻度は低く、特に「双方向性ある活動」は半数未満にとどまった。

 また、2021年度の調査では、遠隔授業の学習意欲・効果を高めるために学生がもっとも必要とするポイントは「教員からのフィードバック」だったが、今回の調査では「何度も復習できる教材が提示されていること」が最多。遠隔授業では、倍速再生や巻き戻し、繰り返し再生できる反復学習により、学習意欲や学習効果が高まることがわかった。

 「学力の3要素の獲得実感」に関する質問では、学力の要素のうち、「知識」「思考力」「判断力」「表現力」では対面・遠隔で大きな差異はなく、「獲得実感がある」と回答した学生は8割程度にのぼる。一方、「技能」「主体性」「多様性」「協働性」については対面優位の結果となり、特に「協働性」では29.7ポイントの大きな差がみられた。

 今回の調査では「双方向性」や「協働性」等の部分でまだまだ改善の余地はあるものの、遠隔授業での困りごとは大きく減少。調査を実施した同大学の教育推進部・山田剛史教授は、これからの大学における教育のポイントとして、「遠隔授業の教育効果として、知識伝達系の基礎授業等で優位性があるといえる。今後は遠隔授業の良さに磨きをかけつつ、対面授業の質を高めるための教育改善が一層求められる。対面の現場でもコロナ禍で蓄積したノウハウやデジタル環境をうまく取り入れていくことが重要」とコメントを寄せている。


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《川端珠紀》

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