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現役パパが開発、園バス運行管理アプリ「まもる」無料提供

 長屋印刷とNoop(ヌープ)は2022年9月26日、幼稚園等のスクールバスを運行する団体向けに、バス運行管理iPhoneアプリ「まもる」を無料リリースした。園バスでの悲しい事故を防ぐため、2人の現役パパがアプリを制作。

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 システム開発等を手掛ける長屋印刷とNoop(ヌープ)は2022年9月26日、幼稚園等のスクールバスを運行する団体向けに、バス運行管理iPhoneアプリ「まもる」を無料リリースした。園バスでの悲しい事故を防ぐため、2人の現役パパがアプリを制作。

 開発者である長屋印刷の中川氏は4歳と6歳の娘がいる名古屋在住のパパで、Noopの林氏は9歳と11歳の息子をもつ富山在住のパパ。中川氏と林氏は、スクールバス置き去りによる悲しい事故をニュースで見て、「パパとして何かできることはあるのはないか、命をまもることはできるのではないか?」とすぐに電話で連絡を取り合い、その30分後には、無料アプリの制作、アプリの仕様、採算性は考えない方針を決定。パパたちの熱い想いでアプリ開発がスタートした。

 アプリ開発にはアメリカのスクールバスで取り入れられている置き去り防止策を参考に制作。アメリカのスクールバスでは、エンジンを止めると車内にアラームが鳴り、ドライバーは、後部座席にある停止スイッチを押してアラームを止める。最後部まで行く間に、子供が残っていたら自然と目に入って気がつくという仕組みになっている。

 2人が開発したアプリでは、この「アラーム停止スイッチ」を、「バスの最後部からの写真を撮影するという行動」で代用。使用する際は、アプリでルートの運行時間を設定して、出発ボタンを押すことで、運行時間のタイマーを作動。運転終了後に、後部座席に移動して写真を撮影しアップロードする。

 万が一、出発ボタンを押した後、設定されたタイマーの時間内に車内の写真が撮影・アップロードされない場合は、どのバスの車内の確認が終わっていないかを伝える警告が、その団体内の全ユーザーに通知される。

 安全管理の仕組みづくりでこだわった点は、スクールバスで子供の置き去りをなくすこと、iPhoneがあれば無料ですぐに導入できること、大人の行動管理で安全性を高めること、運用に必要なアプリの操作時間をできるだけ短くすることの4点。

 特に、忙しい先生やドライバーは、安全管理の運用がおざなりになってしまうことも予想されるため、写真撮影は写真フォルダの使用不可、必ずライブ撮影で行う仕様とした。また、行動履歴と写真は過去3日間保管・全ユーザー閲覧とすることで、適当な写真を撮影してアップロードすることを防ぐ。

 アプリの無料提供について、中川氏と林氏は「事故の再発防止に対して、行政、メーカー、その他多くの方が真剣に取り組まれている事も知り、大変心強く思っております。今後、より安全な仕組みやシステムが作られ、導入されていくでしょう。それまでの僅かな期間かもしれませんが、2人のパパがつくったこのアプリで、少しでも安全な、少しでも簡単なスクールバスの運行のお手伝いができたらと考えております。」とコメントを寄せている。

《川端珠紀》

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