リクルートが提供するオンライン学習サービス「スタディサプリ」は、1万人超の高校生の学習効果の検証を実施し、2022年8月24日に結果を公表した。ICT個別最適学習による学力向上とともに、進路に対する目的意識の有無と自学習慣の相関性が示唆された。
調査は2021年4~11月、スタディサプリを利用しており、「到達度テスト」を春と秋の2回受験している高校183校を対象に実施。春テストの得点が20~79点の高校2年生のうち、秋テストを受験した延べ1万1,167人について、学習データと学習習慣に関するアンケートの結果を集計・分析した。
調査では、単元別のつまずき把握に特化した「到達度テスト」の春と秋で生じる得点の伸びについて、春に取得した点数帯をベースに可視化。春に取得した点数帯が20~60点台の学力層において、春テストの結果に連動した課題配信の取組状況の違いによる得点の伸びの傾向を分析したところ、連動課題に取り組んだうえで秋テストに臨んだ群と、取り組まずに臨んだ群で得点の分布に差異がみられた。連動課題に取り組まなかった群に比べて、取り組んだ群のほうが秋テストで取得する点数の平均値が高い傾向が示唆された。
これまでの学校教育では、クラス全員が同じ課題を同じペースで取り組むことが主流だったが、デジタル化により生徒ひとりひとりの現状の理解度・理解範囲を可視化することが可能になった。スタディサプリでは「可視化された結果をもとに苦手な部分を克服したうえで次へ進むことができるようになり、つまずく個所の取りこぼしが減り学力を向上させることにつながったと考えられる」と分析している。
教科ごとの学習方法の分析によると、数学・英語でそれぞれ点数の伸びに関係する学習のポイントを確認。数学では幅広い単元の学習を行い単元間のつながりを理解すること、英語では毎日学び続けることが重要であるという傾向がみられたという。
学習サイクルを生徒自身が回していくためには、自学の習慣化が重要になるが、個々の実力にあった個別最適な課題を与えられても、中には自学習慣がなく、勉強に積極的に取り組むことができない生徒もいる。
今回の分析では、自学習慣を身に付けるためには、何のために学ぶのかといった進路に対する目標意識をもっているかどうかが大きく影響し、進路に対する目的意識の有無と自学習慣の相関性を示唆した。目的意識が高い群ほど、平日・休日ともに自学習時間が長い傾向にあった。スタディサプリは「自学の習慣化には、進路指導等で自身の進路に向きあう時間も重要であると言えそう」としている。