教員の多忙化防止に向けて、秋田県教育委員会は2008年から数次にわたり「教員が実感できる多忙化防止対策」を策定。各種対策に取り組みながら教職員の勤務時間縮減や勤務環境の改善に努めている。
2021年2月に前計画を改訂して新たに策定した「2021教職員が実感できる多忙化防止計画」では、計画の着実な推進のため、進捗状況の確認や検証を行うとしており、2021年度の結果を取りまとめて公表した。
全校種で共通した「全教職員の時間外在校等時間を月45時間以内、1年間で360時間以内とする」という目標について、月あたりの時間外在校等時間数の目標(45時間以内)達成率は、小学校75%、中学校49%、高校66%、特別支援学校93%。一方、年間時間外在校等時間が360時間を超えた割合は、小学校55%、中学校83%、高校57%、特別支援学校18%。目標達成に向けた状況は、校種によってバラつきがみられた。
秋田県教育委員会では、中学校や高校において、月あたり時間外在校等時間が45時間を超えた割合が高かったことについて「部活動指導が長時間勤務の大きな要因となっていると考えられる」と指摘。外部人材の活用として、全県で37人の部活動指導員を配置した結果、教職員の時間的、心理的負担軽減につながったことから、2022年度は12市1県立中学校に68人を配置し、さらなる負担軽減を図るとしている。
部活動指導については、県立高校教職員が「多忙化を感じる原因」の1位にあげており、「強豪校の部活動だと休養を取りにくい」「大会が近づくと休養日の設定が困難になり部活動も長くなる」等の声が聞かれたと報告。「外部人材の活用を拡充するとともに、各校で設定している休養日、活動時間の遵守の徹底に向け、学校長を通じて働きかけを行っていく」と総括している。
時間管理・時間意識の徹底に関しては、県立学校で2021年度からICカードによる出退勤管理を導入。各学校で最終退勤時間を設定し、早期退勤の習慣化を図るとともに、閉庁日を設けて連続した長期間の休暇取得を容易にした。2021年度からすべての県立学校で設定することとしていた週1日以上の「ノー残業デー」は、全65校中15校で未設定だった。
教職員の健康維持については、ストレスチェックの受検率97%。このうち高ストレス者率は9%、面接指導申出率は5%であった。
業務改善への取組みとしては、コロナ禍という要因もあり、真に必要な会議や業務等を取捨選択する場面が増加。ICT機器を活用したオンライン会議の実施等により、会議に要する時間の短縮が進んだという。
また、事務機能の強化として、県立学校への統合型校務支援システムの導入を事業化し、2022年度に導入・研修、2023年度より本格稼働予定。今後、教務や保健、学籍等の業務が効率化され、大幅な負担軽減につながるものと見込んでいる。
外部人材等の活用では、スクールカウンセラーを106校に38人、スクールソーシャルワーカーを県内5か所に10人配置する等、専門性を有する外部人材の活用により、教職員の負担軽減を図った。コロナ禍に対応した学校サポーターも117校に79人配置する等、感染症対策に係る教職員の業務を軽減し、感染・拡大防止に努めたとしている。