参議院本会議において2022年5月18日、「国際卓越研究大学の研究および研究成果の活用のための体制の強化に関する法律案」が可決、成立した。世界トップレベルの研究大学となるポテンシャルを有し、抜本強化改革を行う大学に対し、10兆円規模の大学ファンド運用益から集中的に助成を行う。 近年、欧米におけるトップレベル大学が豊富な資金力を生かして、高度な研究基盤の構築や若手研究者への投資等を進め、新たな学問領域の創出をはじめとする多様な学術研究・基礎研究を展開している。 日本の大学の研究力が欧米に比べて相対的に低下している一因として、資金力の差が考えられることから、今回成立した法律では、この差を埋めるために国公私の設置形態にかかわらず、国際的に卓越した研究大学となるポテンシャルを有し、研究力の抜本強化に向けた改革を行う大学に対し、10兆円規模の大学ファンドの運用益から集中的に助成を行う等の制度を定めた。 同法律では、研究および研究成果の活用実績・体制や、運営体制、業務執行体制、財政基盤について一定の基準を満たす大学を「国際的に卓越した研究の展開および経済社会に変化をもたらす研究成果の活用が相当程度見込まれる大学(国際卓越研究大学)」として文部科学大臣が認定。加えて、国際卓越研究大学の研究強化目標、達成のための事業内容、資金額と調達方法等を記載した計画についても文部科学大臣が認可し、実際の助成は科学技術振興機構(JST)が行う。 末松文部科学大臣は5月20日の閣議後会見で、「大学は、国内外の人が集まり、人を魅了して、そして人を育成するというこの3つが重要です。世界と伍する研究大学の実現と、地域の大学等も含めた我が国の大学の研究力強化に向けて、引き続き全力で取り組んでまいります」と述べた。文部科学省は、大学ファンドを含む関係施策を総動員し、日本の大学の研究力強化に向けて取り組むとしている。