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小学校のプログラミング必修化課題は「教師」と「環境」

 リトルソフトは、全国の小学校教師1,024人を対象に実施した「プログラミング教育必修化」調査で、「教師」と「環境」の2つの課題が明らかになったことを、2022年5月10日に発表した。

事例 プログラミング
「プログラミング教育必修化」調査
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 リトルソフトは、全国の小学校教師1,024人を対象に実施した「プログラミング教育必修化」調査で、「教師」と「環境」の2つの課題が明らかになったことを、2022年5月10日に発表した。

 2020年度より小学校の各教科にプログラミングを交えた教育方法が導入されたが、実際の教育現場はどのようになっているのか、プログラミング教育を実施するために必要なICT環境の整備や教材開発、教育研修等は問題なく行えていたのか等、現状と課題を把握するために調査を実施した。

 「プログラミング教育必修化」に関する調査は、2月14日から16日の期間、全国の小学校教師1,024人を対象に、インターネットで行った。モニター提供元は、ゼネラルリサーチ。

 まず、「プログラミング教育が必修化前は、どのくらいプログラミングの知識をお持ちでしたか?」と質問したところ、「教育に必要な知識は持っていた(45.0%)」がもっとも多く、「あまり持っていなかった(23.5%)」「専門的な知識を持っていた(21.0%)」「まったく持っていなかった(10.5%)」と続いた。必修化前にプログラミングの知識があったという教師が多い一方、そうではない教師の割合も少ないとはいえない結果となった。

 次に「プログラミング教育の必修化により、授業にかかる負担はどのくらい増えましたか?」と質問したところ、「やや負担が増えた(54.8%)」がもっとも多く、ついで「大きく負担が増えた(32.7%)」。「負担が増えた」の割合が合計で9割近くとなり、いかにプログラミング教育の必修化が教師に大きな負担を与えているのかがわかる結果となった。

 さらに「負担が増えた」と回答した人に、「プログラミング教育の必修化により、最も大きな負担を感じているのはどのような点ですか?」と質問したところ、「教科内容の理解や指導計画など準備が大変な点(45.1%)」と回答した人がもっとも多く、「情報機器(端末)の操作を覚える必要がある点(23.6%)」「教材やカリキュラムなど用意することが大変な点(22.2%)」と続いた。特に授業の事前準備が大きな負担となっており、使用経験のない情報端末の操作方法を覚えなければならないといった点にも負担を感じている教師が多いことがわかる。

 このように、プログラミング教育の必修化で負担を感じる教師が多い中、「現在行っているプログラミング教育に手ごたえを感じていますか?」と質問したところ、7割以上が「大きな手ごたえを感じている(14.7%)」「ある程度の手ごたえを感じている(55.7%)」と回答した一方、3割近い教師が「あまり手ごたえを感じない(25.9%)」「まったく手ごたえを感じない(3.7%)」と回答。

 「手ごたえを感じている」と回答した人に「児童のどのような様子を見て、手ごたえを感じましたか?(上位5項目まで)」と質問したところ、「プログラミングを体験しながら学習活動ができている(56.0%)」がもっとも多く、「プログラミング的思考(論理的思考力)が身についてきている(37.3%)」「文字入力などの基本的なPC操作が習得できている(37.2%)」と続いた。

 小学校の新学習指導要領では、「児童がコンピュータで文字を入力するなどの学習の基盤として必要となる情報手段の基本的な操作を習得するための学習活動」と「児童がプログラミングを体験しながら、コンピュータに意図した処理を行わせるために必要な論理的思考力を身に付けるための学習活動」の2つの学習活動が定められている。指導要領に沿って進めることができた結果、概ねそのような"手ごたえ"を感じたように思われる。

 一方、手ごたえを感じていない教師に「手ごたえを感じていないのは、どのような理由ですか?(上位5項目まで)」と質問したところ、「プログラミング教育を行う環境に不備があるから(39.9%)」がもっとも多く、「自分が納得できるプログラミング教育ができていないと思うから(35.0%)」「児童が成長している実感が湧かないから(30.4%)」という結果になった。プログラミング教育を行うための環境に不備があるというのは、根本的な部分の課題だといえるのではないだろうか。またそれが原因となり、納得できるプログラミング教育ができなかったり、児童が成長している実感が湧かなかったりすることも多いのかもしれない。

 ここまでの調査で「教師」と「環境」という2つの課題が見えてきたが、教師本人はどのように感じているのかを調査するため、「指導する教師についての課題は、どのくらいあると思いますか?」と質問。「大きな課題があると思う(40.8%)」「やや課題があると思う(55.1%)」「課題はないと思う(4.1%)」という回答が得られ、ほとんどの教師が教師自身に課題があることを実感していることが明らかとなった。

 さらに「課題があると思う」と回答した人に、「教師がプログラミング教育を行う際、課題があると感じるのはどのような点ですか?(上位5項目まで)」と質問したところ、「具体的な授業の進め方や指導方法などが決まっていない点(51.4%)」がもっとも多く、「プログラミングを使った授業に不慣れな点(42.2%)」「プログラミングを指導するための教員研修プログラムが稚拙な点(42.2%)」と続いた。

 この結果から、具体的な授業の進め方や指導方法が決められていないことも、教師負担の増加に影響している可能性があると思われる。教師に関する課題は、教える立場にある教師がプログラミングを使った授業に慣れていないこと、研修プログラムが整備されていないこと、といった点に課題を感じているように見受けられる。

 次に、課題の2つ目「環境」についてを調査。「小学校の教育環境の課題に対して、どのような対策が必要だと思いますか?(上位5項目まで)」と質問したところ、「インターネットや無線LANなどの通信環境の整備(47.1%)」と回答した人がもっとも多く、「ICT環境(児童数と教育用コンピュータ台数の比率改善など)の整備(38.8%)」「電子黒板、実物投影機などの補助機器の整備(35.3%)」が続いた。

 このように教育現場では通信環境・ICT環境・補助機器の整備が求められている一方、都道府県ごとで実施状況にバラつきがあり、児童数に対して用意できるコンピュータの数が足りていない学校もあるのではないだろうか。最後に、「今後、小学校のプログラミング教育を推進するためには、さらなるICT環境の整備が必要だと思いますか?」と質問したところ、約9割の教師が「はい(89.6%)」と回答。まずは比較的取り組みやすいICT環境の整備から、進める必要があるようだ。
《川端珠紀》

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