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【相談対応Q&A】お金の使い方を指導してほしい

 冬休み明けの時期は、子供がいつも以上にお金を持っている時期です。お金に関係するトラブルの発生の可能性も高くなります。今回のテーマは「学校でお金の使い方について指導してほしい」。

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 学校に寄せられるさまざまな相談。保護者や地域からの相談に先生はどのように対応するのが良いだろうか?クラス担任として豊富な経験がある鈴木邦明氏に、学校へ寄せられるさまざまな相談に対応する際のポイントを聞いた。第66回のテーマは「お金の使い方について指導してほしい」。

冬休み明けはお金のトラブルが発生しやすい


 冬休み明けの時期は、子供がいつも以上にお金を持っている時期です。お金に関係するトラブルの発生の可能性も高くなります。

 正月には子供はお年玉をもらいます。バンダイが2018年に行ったお年玉に関する調査では、小学生の平均は約2万1千円、中学生は約3万円でした。手元に現金があることで、それがきっかけとなるトラブルが発生しやすい時期です。個人の問題としては、買いたいものをいくつも買ってしまう「お金の使い過ぎ」等です。また、友達同士の問題としては、お金の貸し借りやそれに似ている「おごる・おごられる」等のものです。親の立場としては、そういったことを学級担任から全体に指導してほしいという思いがあるのだと思います。

お金の使い方は家庭の問題


 ただ今回のテーマのようなものは、明らかに家庭での問題です。経済状態やお金の使い方に関する考え方はそれぞれの家庭で違います。毎月のお小遣いが無い代わりに、家庭内でアルバイトのような感じでお手伝いをするとその度に一定額のお金を子供が得るというやり方をしている家庭もあります。テストで100点を取ると100円をもらえるという仕組みを取り入れている家庭もあります。子供のお金を得る方法やその使い方に関しては家庭での親の考え方が強く表れます。

 一部の家庭で起こった、親が対応しにくい(できない)問題を何でも学校で対応するという考え方は間違っているでしょう。今の学校は「子供のため」という理由で子供に関することを何でも引き受けているような状況です。そういったことによって、教員の多忙化が進んでしまっています。結果として、本来大切である教員が授業の準備ための時間が削られるというようなことにつながっています。

 お金の使い方等に関することは家庭での問題であるということを学校は保護者に積極的に伝えていくことが大事でしょう。具体的な方法としては、学校便りや学校ホームページに載せる、PTAの集まりで話題にする等です。家庭によって温度差があり、こういったものは一度伝えただけで状況が一気に変わるものではありません。機会ある毎に同じことを何度も繰り返し伝えていくことが求められます。

 今回のお金の問題は、集団の状況が悪いものになってくると、さらに複雑なトラブルとなる可能性があります。たとえば、「強制的におごらせる」「借りたお金を返さない」「お金を盗む」等の悪質なものです。これらは学級集団の質が大きく影響を与えます。日常的にいじめが起こっている集団なのかということも関係します。そういった状態になった場合、賛否両論あるのですが、私は警察に対応をしてもらうのが良いのではと思っています。この場合、警察に被害届等を出すのはもちろん保護者です。大人の世界で他の人からお金を奪ってしまったら、窃盗、恐喝、詐欺等の罪に問われます。学校での生徒指導では、状況によって教員は「警察官」「裁判官」「心理カウンセラー」等さまざまな役割を担当することになります。何でも学校が抱えるのではなく、問題によってはそれぞれの専門の人が対応する方が良いのではないかと思います。

 学校では「教育的な配慮から物事を荒立てない方が良い」という考え方があります。学校には問題を起こした児童・生徒を出席停止にすることができるという制度があるのですが、実際にそれらが適用されるケースはほとんどありません。お金に関するトラブルがあっても警察を避けるという考えは、そういったことと似たような考え方です。警察沙汰になることで、その子供の将来に何か問題が起こるかも知れないので、何とか学校内で処理ができないかという考え方です。私は学校も社会のルールで対応すべきだという考え方です。子供達は数年後には学校を卒業し、社会に中で生きていきます。子供時代に責任を曖昧にしてしまうことで、結果として将来の大きなトラブルにつながってしまうのではと思います。

 本企画では、読者の皆さまからの質問を受け付けています。下記のボタンをクリックして表示されるフォームより送信ください。実際に学校へ寄せられた相談の他、保護者が学校へ伝えた相談等、鈴木先生に対応方法を聞いてみたい相談事例を募集します。

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鈴木 邦明(すずき くにあき)
平成7年 東京学芸大学教育学部 小学校教員養成課程理科専修卒業。平成29年 放送大学大学院文化科学研究科生活健康科学プログラム修了。神奈川県横浜市、埼玉県深谷市で計22年、小学校教諭として勤務。現場教員として子供たちの指導に従事する傍ら、幼保小連携や実践教育をテーマとする研究論文を多数発表している。こども環境学会、日本子供学会等、多くの活動にも関わる。平成29年4月からは小田原短期大学特任講師、平成30年4月からは帝京平成大学講師として、子供の未来を支える小学校教諭、幼稚園教諭、保育士等の育成や指導に携わる。
《鈴木邦明》

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