文部科学省は2021年4月6日、新年度に担任教員が不足している実態を踏まえ、全国の自治体を対象に初めて、教員不足の実態を把握する調査を行う考えを示した。2021年度から少人数学級に向けた動きが始まる中、教員不足解消に向け、実態調査に着手する。 4月6日の記者会見において、文部科学省の萩生田光一大臣が表明した。萩生田大臣によると、教員不足により、小学校では年度当初に学級担任が不足し、教頭など他の教員で対応する状況が生じている。このような状況を踏まえ、文部科学省は2021年度、教師不足に関する全国的な実態調査を実施する。 教員不足が生じるおもな要因には、財政的な事情などで正規職員を計画的に採用できていない自治体があることや、講師の登録名簿の登載者数減があげられている。近年は、教員採用倍率の低下を背景に講師の正規採用が進んでいるほか、産休・育休取得者数や特別支援学級等の増加、生産年齢人口の減少なども講師登録者名簿の登載者減少に影響しているという。 3月31日には、公立小学校の学級編成を35人に引き下げる「公立義務教育諸学校の学級編制および教職員定数の標準に関する法律の一部を改正する法律案」が成立。公立小学校では、2021年度から5年かけて学級編制の標準を1クラスあたり35人に引き下げるとともに、約1万4,000人の教職員定数の改善を図っていく予定で、教員確保が課題となっている。 萩生田大臣は会見で「義務教育は国の責任。新年度が始まって担任の先生がいないという事態を今後生むことがないように、せっかく4月から35人学級が順次進んでいくことになるので、まさに今年はいろんな意味で教育改革の元年と位置付けて、教員採用の在り方についても地方のみなさんと同じ思いをもってしっかり検討を加えていきたい」と語った。