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新課程入試における主体性の評価・調査書の方向性、旺文社が分析

 旺文社教育情報センターは2021年4月5日、文部科学省が3月に公表した「大学入学者選抜における多面的な評価の在り方に関する協力者会議」における「審議のまとめ」のポイントを整理し、解説を加えてWebサイトに掲載した。

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 旺文社教育情報センターは2021年4月5日、文部科学省が3月に公表した「大学入学者選抜における多面的な評価の在り方に関する協力者会議」における「審議のまとめ」のポイントを整理し、解説を加えてWebサイトに掲載した。

 「大学入学者選抜における多面的な評価の在り方に関する協力者会議」でのおもなテーマは、2025年(2024年度実施)の新課程入試へ向けた「主体性の評価」「調査書の内容」「調査書の電子化」の3つ。

 1年にわたる議論では、主体性の評価について困難さを指摘する意見が多く出されたが、「審議のまとめ」では引き続き推進していく方向が示された。「主体性の評価」は大枠現状のまま。旺文社教育情報センターは、「本会議の1年間全体の雰囲気からすれば意外な結論」と評価している。審議のまとめには各大学の判断に委ねたり、「どうしたらいいのか」と疑問が生じる曖昧な表現がみられることから、「とりあえず総合型、推薦型で充実させていこう」という雰囲気がうかがえるという。もっとこの方向性を明確に出していれば、もう少し現実的だったと指摘している。

 推薦書における「学力の3要素(3要素)」の評価は継続となった。2021年の新入試へ向けて出された「入学者選抜実施要項の見直しに係る予告」では「必須」とされ、実際の選抜実施要項では「(大学は高校に)記載を求める」とされている。文部科学省は「記載を求める基本的な方向性は変わっていない」と説明。しかし、2021年の各大学の推薦書をみると、3要素の記載を求めない大学が非常に多いという。

 「調査書の内容」は簡素化の方向。本人記載の資料との区別が図られ、「調査書=学校の教育活動」「本人記載の資料=それ以外の活動」を記載するのが適当とされた。主体性の評価の充実とは逆方向となる簡素化で、調査書はこのはざまにある。「指導上参考となる諸事項」「備考」は、2021年新入試で変更となったが、2025年新課程入試で再変更される。しかし、簡素化の一方で、2021年新入試から行われた調査書両面1枚の枚数制限の撤廃は、審議のまとめでは言及されておらず、枚数制限なしのままとなっている。

 「調査書の電子化」は実装時期が白紙となった。電子化は文部科学省の委託事業で、関西学院大学が代表校として研究が進められていた。当初のスケジュールでは、2020年度にすでに教育委員会や学校法人がシステム導入のための予算要求を行うことになっていたが、2020年9月の同会議で2025年入試に延期する意思が示されていた。しかし結局、デジタル庁の創設を中心に国全体のデジタル化が進められていく中で、さまざまなシステムとの連携が必要となってくることから、その動きを見定めるため、その予定も白紙となった。

 2025年の新課程入試については、同会議で主体性の評価や調査書が検討された。「大学入試のあり方に関する検討会議」では、英語4技能や記述式、大学入試全般が検討されており、じきにまとめが出されるはずだという。大学入試センターからも先日、2025年の共通テスト科目案が発表された。最終結論は、これら3つを踏まえ今夏に文部科学省から公表される予定となっている。

 旺文社教育情報センターがまとめた「多面的な評価の在り方会議『審議のまとめ』公表! 2025年新課程入試『主体性の評価&調査書』の方向性」は、Webサイトに掲載されている。
《外岡紘代》

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