文部科学省は2021年1月5日、新型コロナウイルス感染症の新規感染者数が急激に増加している現状を受けて、幼稚園、小学校、中学校、高校などに向け、感染症対策の徹底を求めた。学校のみを休業とすることは避けるべきとし、臨時休業は必要最低限にとどめるよう周知している。 文部科学省の発表によると、2020年6月1日から12月31日までの間に、学校の設置者から報告のあった感染者数は、児童生徒が6,159人(小学校2,217人、中学校1,513人、高校2,350人、特別支援学校79人)、教職員が830人だった。このうち、同一の学校において10人以上の感染者が確認された事例は、小学校8件、中学校7件に対して、高校は26件にのぼる。 この状況を踏まえて、各学校は地域の感染状況に応じて感染症対策を徹底してほしいとし、「学校教育活動の継続と臨時休業の考え方について」「部活動および寮や寄宿舎における感染症対策の徹底について」について、留意すべき点を示した。 地域一斉の臨時休業は、当該地域の社会経済活動全体を停止するような場合に取るべき措置だとし、学校のみを休業とすることは子どもの健やかな学びや心身への影響から避けることが適切だとしている。児童生徒や教職員の中に感染者が発生した場合でも、感染者が1人発生したことをもって学校全体の臨時休業を行うことは控えるよう求めている。 学校内で広がっている可能性が高い場合など臨時休業が必要な場合は、保健所などと相談のうえ、学級や学年単位など必要最低限の範囲での休業にとどめるよう周知した。 感染不安により、保護者から休ませたいと相談のあった児童生徒などについては、感染者が急激に増えている地域であるなどにより、合理的な理由があると校長が判断する場合には、指導要録上、「出席停止・忌引き等の日数」として記録し、欠席とはしないことも可能だという。 幼稚園が臨時休業を行う場合には、1人で家にいることができない年齢の幼児が利用していることを踏まえ、感染拡大防止のための万全の対策を講じたうえで預かり保育を縮小して提供するなど、居場所の確保に向けた取組みの検討を要請した。 部活動については、「学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアル」および関係通知にしたがって、地域ごとの感染レベルに応じた活動を行うよう求めている。 また、同じ部活動に所属する生徒が食事する際なども含め部活動内外を問わず感染対策を徹底するよう要請。特に高校においては、地域の感染状況や当該部活動の活動内容などに応じて、部活動の実施にあたり、感染リスクの高い活動を一時的に制限することも含め検討するなど感染症への警戒を強化してほしいという。 寮や寄宿舎の集団生活における感染症対策についても、「学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアル」にしたがって、改めて確認・徹底するよう求めている。