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千葉大附属小の算数で「LINE entry」活用、誤答を示し論理的思考促す

 小学校のプログラミング教育が必修化され、現在その準備や実施に臨む先生も多い。プログラミング授業を推進する小学校の先生方が集い、2020年11月8日にLINEみらい財団が主催した無料オンライン講座「授業実践から学ぶ小学校プログラミング授業」のようすをレポートする。

教材・サービス 授業
小池翔太先生による「LINE entryによる授業実践とポイントの解説」
  • 小池翔太先生による「LINE entryによる授業実践とポイントの解説」
  • 授業の導入・アイスブレイクのようす
  • ワークシートで考えるようす
  • 「繰り返す」プログラムの説明
  • 間違ったサリーに説明するつもりで考える
  • 児童による「正三角形を描く」プログラムの説明
  • いろいろな多角形を試行錯誤しながらプログラム
  • 授業のまとめ
 小学校のプログラミング教育が必修化され、現在その準備や実施に臨む先生も多い。プログラミング授業を推進する小学校の先生方が集い、2020年11月8日にLINEみらい財団が主催した無料オンライン講座「授業実践から学ぶ小学校プログラミング授業」のようすをレポートする。

 講座は、プログラミング授業に取り組む先生方に向けて、「LINE entry」を使った授業実践やプログラミング授業を推進する小学校の先生方のアドバイスを中心に展開。視聴者の質問や交流の場として講座開催時限定のLINEオープンチャットも用意された。

 LINEみらい財団は2019年12月に設立。これまでLINEが取り組んできた情報モラルやプログラミング教育などから得られた知見やノウハウを、CSRに留まらずに社会に還元し、より広域的に持続可能なものに結び付けることを目的としている。

「LINE entry」千葉大学教育学部附属小学校の授業事例



 千葉大学教育学部附属小学校の小池翔太先生は、「LINE entry」による授業実践とポイントの解説」の講座で、「LINE entry」を利用した5年生算数「正多角形」の授業映像を元にポイントを解説し、オープンチャットの質問にも回答した。

親しみやすいキャラクターと場面で導入・アイスブレイク



 授業は導入とアイスブレイクから始まった。小池先生が「プログラミングで正多角形を描こう」というテーマを発表。LINEのキャラクター、ウサギのコニーとひよこのサリーが登場し、コニーから「Tシャツに正多角形の模様をデザインしたい」との依頼がLINEで届く。カメが正多角形を描くプログラムを作ってコニーの手伝いをすることがゴール。

授業の導入・アイスブレイクのようす
授業の導入・アイスブレイクのようす

 進めるにあたっては「困ったらまず周りの人に声をかける」「声をかけられたら無視せずにまずはヒントを教える」「パソコンやタブレットでプログラミングするときは譲り合って使う」という3つの約束が示された。

 ポイント解説で小池先生は、オープンチャットのコメントにあった「親しみやすい教材やお願いをするというシチュエーション」を、自らが関わる「LINE entry」の教材開発で特に大切にしたと述べた。また3つのルールは、対話的な学びや協働を促すために重要なポイントであると説明した。

ワークシートを活用して考える意味



 授業は「正方形を描く」ワークへ。タブレットでいきなりプログラムを組むのではなく、その前に本当に正しくできるのかを紙のワークシートで考える(本教材はLINE entryのサイトでダウンロードが可能)。その後、「LINE entry」でのプログラミングの準備。各画面の配置・役割が説明された。

ワークシートで考えるようす
ワークシートで考えるようす

 小池先生は、最初にワークシートで考える意味を「自分が意図したものをまず明確にしてから論理的に考えて試行錯誤する。プログラミング的思考の育成には非常に大事な活動」と説明。「LINE entryの使い方を学ぶときには何の教科で行ったか」というチャットの質問には、今回の子どもたちは総合的な学習の時間などでプログラミング教材を活用した授業を経験していたことを説明。教科で「LINE entry」の使い方を初めて伝えることも1つの手立てだが、先生や児童の実態に応じて慣れる時間がほかにあっても良いと伝えた。

「繰り返す」プログラムで正方形を描く



 実際にコンピューターを使って正方形のプログラムを個人で作成し全員で確かめていく。ある児童からは「4回繰り返すというプログラムを使う」との声もあがったが、あえて「10cm前に進む・右回りに90度回転」を4回書き、その次に「繰り返す」というプログラムの説明を行っていた。ブロックの数字を4回に変更し、中に挟むブロックに「10cm進む・90度回転する」と記述する。プログラムを実行すると黙々と作業を進めるカメ。プログラムは順番に上から繰り返して実行するが、挟み込んだ命令も繰り返されることがわかった。

「繰り返す」プログラムの説明
「繰り返す」プログラムの説明

 小池先生によると、プログラミングに慣れている児童は「繰り返す」ブロックを早速使い出すが、あえて10cm90度を4回繰り返す遠回りをしたという。これは、高学年になると発表が暗くなりがちで、指名計画や机間指導に課題はあるが、勢いのある子どもの雰囲気を生かしたという。「繰り返す」は算数のねらいには直接関わらないがプログラミング教育では必要な部分。同時にコンピューターは面倒なことも淡々と実行する、ということを子どもたちに話すことで、プログラミングの良さにも触れることができたと振り返った。

誤答を修正することで「外角」を理解する



 続いて「正三角形を描く」。サリーが作ったプログラム「10cm前に進む・60度だけ回転を3回繰り返す」では正三角形にはならない。プリントの裏面にはサリーの誤ったプログラムがあり、児童が修正を考えて書き込んでいく。

間違ったサリーに説明するつもりで考える
間違ったサリーに説明するつもりで考える

 修正したプログラムの確認では、「3回繰り返す。10cm前に進む。正三角形の内角は60度だが120度という数字を使う」とし、プログラムを実行。なぜ修正できたかを児童に考えさせる。直線が続いた状態で外側を見ると120度。直線は180度なので180度-60度で外側は120度。外側の角は「外角」という言葉であると伝え、カメの気持ちになって進みたい方向に対してどの向きで回るべきかを考えることがプログラミングでは大切であることを児童に説明した。

 小池先生はここでのポイントは「誤答」を最初に示すことだと説明。オープンチャットでも「授業時間の短縮が目的か。子どもたちがプログラミングする中でトライ&エラーをしながら考えたほうが良いのでは。エラーを共通認識させるという目的があるのか」という問いかけがあり、小池先生は今回の「LINE entry」の授業では算数の一斉授業で「外角」の性質を理解することがねらいのひとつであり、キャラクターの親しみやすさやあえて誤答を出すことで、なるべく離脱する児童を出さないことが意図にあったと説明した。

 難しい概念だからこそ、先に誤答を示して、それがなぜなのかを論理的に試行錯誤しながら考えることを優先したという。コンピューターで先にやると、いい加減にコンピューターで試してたまたまできたことになる。また、きちんと理解をおさえないと内角を120度と勘違いする児童も出てくる、と解説した。

試行錯誤しながらプログラミング



 授業の最後は「いろいろな正多角形のプログラミング」。残りの時間で応用したプログラミングをさらに進める。外角の性質を使い、正「何」角形を作って自分のデザインしたTシャツのスクリーンショットをTeamsに投稿。難しいデザインは児童がどのように制作したのかを説明した。コンピューターなら手書きだと面倒な図形を正確に描くこと、何度も正しく実行してくれることがわかった。まとめとして「繰り返す」と「外角」の2点を重要なことと確認して授業は終了した。

児童が期せずしてSDGsの色に類似したデザインを作成
児童が期せずしてSDGsの色に類似したデザインを作成

授業のまとめ
授業のまとめ

 オープンチャットでは「(児童が)良い意味で遊び始めた」といったコメントがあった。これは小池先生がねらったところだという。最初にワークシートで意図を明確にしてからプログラミング。次は「誤答」を示して論理的に考えて「内角と外角」の性質をおさえた。その経験を踏まえて児童も意図を明確にして試行錯誤。正多角形ではないものあったが、それも角の性質や、何を繰り返したのかという算数のねらいに、教師がうまく引き戻してあげることが大切だと伝えた。

プログラミング授業を推進する先生たちの意見交換会



 先生方の情報発信・共有の場として紹介された「プログラミング教員コミュニティ」はLINEみらい財団が運営する、全国でプログラミング教育を推進する先生方の教員コミュニティだ。このコミュニティでは日本各地の先生が知見や実践例を持ち寄り、情報発信・共有ができる場を目指す。教員コミュニティの運営やZoomでの会議、先生相互あるいは事務局への相談体制、オンラインでの研修や集合研修などを行い、新たなプログラミング教材の企画への意見出しや、発信側への参画も歓迎している。

「教員コミュニティ」でできること
「教員コミュニティ」でできること

 授業事例紹介の次は、プログラミング授業を各地で推進する6名の先生が参加し、意見交換が行われた。参加した先生は、前出の講演に続いて千葉大学教育学部附属小学校の小池翔太先生、大阪市立苗代小学校の金川弘希先生、岡山県備前市立香登小学校の津下哲也先生、千葉県柏市立柏第六小学校の青木佑典先生、東京学芸大学附属世田谷小学校の鴻巣敬先生、島根県雲南市立木次小学校の大久保紀一朗先生の6名。進行はLINEみらい財団の福岡俊弘氏が務め、100名近く参加しているチャットからの質問も交えながら話し合った。

事前準備はパッケージ利用と基本操作に留意



 最初の話題は「プログラミングの授業にあたっての事前の準備」。津下先生は「パソコンの指導が難しい教員を見据えればLINE entryなどのパッケージは必然。子どもは教え合ってできるので、準備は簡単すぎるくらいでちょうどいい」と述べた。青木先生や大久保先生は、コンピューターの基本的な操作でつまずくと、先にある考えることにつながらないため基本的な操作の技術は大切だと加えた。

6名の先生方が実践をもとにアドバイス
6名の先生方が実践をもとにアドバイス

「学びの社会化」とプログラミング教育



 続く「授業の工夫について」は多くの意見が出た。まずはプログラミング教育の位置付けについて鴻巣先生から「プログラミングは学習のひとつの手段という位置付け。目的に応じて手段を使い分けるうちにプログラミングが加わる。実際の社会でプログラミングが生かされていることを軸に置いて、その結び付きを子どもたちが見出せるような授業をイメージ。これがなければプログラミング教育は"プログラミングのための教育"になってしまう」と指摘した。

 大久保先生は「子どもも先生も初めての場合はハードルも高い。休み時間などで一緒に遊ぶ中で、子どもたちはどんどん学習してプログラムを書けるようになる」と授業前に「遊ぶ」ことの大切さを話した。また小池先生の授業を例に「多角形を手書きで描けば、角が増えると円に近づくことは気付けない。プログラミングならば手書きにはない気付きも得られる」というプログラミングならではの利点を伝えた。

 さらに小池先生は「学びの社会化」に言及。「総合的な学習の時間で地域のPR活動をLINE entryを使ってゲーム風のアプリにする授業を構成したことがある。地域のためにプログラミングで何かができた、人のために学ぶことによる達成感がある」とした。

 津下先生は「6年生で少子高齢化社会をベースに自分たちの町の良いところを再発見する活動をしている。フィールドワークで昔の施設や建物の魅力を発見、未来の5Gの動画視聴とあわせて、過去の良さと未来の自分たちが描く姿を形に。"未来マップ"を作り、その中で町をどうやって表現するか。子どもたちは、ゴミを自動的にカウントする自動販売機や高齢者に優しい電車などを考え、それらを『Scratch』や『LEGO WeDo』で表現した。自分たちのしたいことがあって、それを解決するためにどういう手段になるかと位置付けていくのがプログラミングの良さ」と話した。

 大久保先生は、人口減少地域の課題をドローンで解決することに触れて「プログラミングを介して自分たちが社会に貢献できることを経験すると、すべての子どもが将来プログラマーになるわけではないが、何か問題にあたったときにプログラマーとともに自分の課題を解決していくことにつながるのではないか」と説いた。

「評価」については今後も模索が続く



 「プログラミング授業の評価について」は、青木先生が「教科の中で授業する場合は、学習指導要領や、もともとの学びに対して評価できる授業が必要」とした。そのためにはTeamsへのスクリーンショットなどの学習記録や、ワークシートでの思考の記録、保存したプログラムを確認できることが重要になる。

 金川先生は「評価には子どもたちの自己評価と教員が設定する目標があるが、目標に関しては、教科とプログラミングの目標を掛け算で考えて評価すれば、教科の学びもプログラミングの学びも達成できるのではないか」とした。金川先生の場合、まず授業のはじめに子どもたちに対してS・A・Bという3段階の自己評価を行うことを伝え、これにもとづいて授業をすると子どもたちの問題意識が明確化されて授業のねらいが外れなくなるという。

 福岡氏は「小金井市の前原小学校で校長先生をされていた松田孝先生にお聞きした際、"コンピテンシー"という言葉を使われていた。子どもたちひとりひとりの思い、それぞれを評価してあげる必要があるとおっしゃっていたのがとても印象的だった」と、これまでの教科の評価と異なる部分を指摘。

 小池先生は「小学校プログラミング教育の手引」に関する記載を紹介しながら、「プログラミングそのものの知識・技能がどうだったのかについては深入りしすぎないほうが良い」と話した。今後、共通テストの科目に「情報I」が入る可能性もあり、評価に議論は今後も模索されることを予感させた。

ハードルの低さが好評価な「LINE entry」



 「LINE entryについて」のテーマでは、津下先生は、児童が実際に「LINE entry」でプログラミングをしている画面をもとに「あやまって押すと変なところに行くなどの不確定要素がつまずく原因になるが、「LINE entry」ではそうしたつまずきがない。実際に子どもに試して子ども自身がどう評価をするかで判断しているが、「LINE entry」は子どもや先生にとって使いやすい教材、と評価した。

 青木先生からは、子どもたちがクラブ活動で「LINE entry」のミッションに熱中したという話があった。「自分のペースでどんどん進めた。『サリーを探せ』などの面白いタイトルで簡単なところからすぐにスタートできる。適度な難易度で楽しみながらプログラミングの考え方が身に付く」と好評価だった。

小学校プログラミング教育の体系作り



 オープンチャットからの質問には「アンプラグド、ビジュアル、ロボットと学年ごとに、どう系統的に取り入れるか整理できない。新しい教材も次々とアップデートされる中で、予算確保も含めてお勧めの教材があれば教えてほしい」とあった。

 津下先生からは岡山県備前市で2~3年ほど練った体系が画面共有された。1・2年生でアンプラグド、3年生でScratch、4年生で総合、5・6年生は教科書にある算数と理科。備前市はこれを基本に予算化。各学校に「LEGO We Do」を購入した。「学校単位では予算やカリキュラムを立てるのは厳しい。ロボットやブロックなどの物の購入、カリキュラム作りは広域自治体で、物がない場合はLINE entryなどに置き換える形でやっていく。5・6年生は最低限これはやるというところを揃えると良い」とアドバイスを伝えた。

備前市のカリキュラム例(津下先生)
備前市のカリキュラム例(津下先生)

 青木先生は柏市の体系を紹介。「1~3年生まではコンピューターの基本的な操作を順繰りにやっていき、4年生で初めてプログラミング。そこからScratchを基本として遊び的に使い始め、学期に1度ずつさまざまな教科と組み合わせながら高学年に進む」とのことだった。

先生方が伝えたい大切なこと



 意見交換の時間の最後に、先生方から視聴者へのメッセージが伝えられた。

福岡氏:青木先生が、プログラミング授業では試行錯誤で悩む場面を作ることが重要とおっしゃったが、本当にそうだと思う。今日、小池先生の授業で皆さんも感じたと思うが、一旦間違って見せて、子どもたちにどう思うかを振ってみる。この主体的に考えることがプログラミングのもっとも大切な部分ではないか。

小池先生:民間企業が財団を立ち上げて学校に無償で教材を提供し、出前授業もオンラインで実施する。こうした動きには敏感になる必要がある。教材も次々にアップデートされるが、それで格差が広がるからやらないのではなく、さらに情報交換して少しでも子どもたちに届く教育活動をしていきたい。

鴻巣先生:プログラミングがプログラミングとしてではなくて、あくまでも学習の手段として位置付けられるように。学習や遊びの中で、子どもたちがプログラミングを体験できる機会がどんどん増えていったらいい。そういう仕掛けを教師自身がたくさん作ってあげる、そういう足場掛けも大事で、子どもたちがプログラミングに親しみをもてる場面をたくさん作ってあげたい。

大久保先生:課題解決的に子どもたちが主体的に学んでいくことが大事だが、そこにプログラミングを入れるためには、子どもたちがツールとしてプログラミングを使いこなせる状態にまで鍛えて、課題が出てきたときに、これはプログラミングで解決できるのではないかと試行錯誤して、必要に応じて教師が足場を掛けながら、楽しみながら解決していけるような授業ができればと思う。

金川先生:たとえばロボットを用いる場合でも、数校の近隣校で使い回しができれば予算も削減できる。プログラミング教育を教科に取り入れるのが難しければ、教科の学びをより確かなものにするために教科を終えてから行ったり、プログラミング教育を行ってから教科の学びに入る。プログラミングは「学びの社会化」の面も強いので、そうした面をより伸ばしていければと思う。

津下先生:小学校のプログラミング教育の役割は、プログラミングは楽しい、何か実現できたという達成感を体験させることが1番大きい。教科のねらいや評価は考えれば考えるほど難しくなるので、できない理由を探すのではなく、できることを探してやっていく。

青木先生:プログラミング教育の目的には、コンピューターの良さを知る、目的に向かって試行錯誤する、教科の学びを深めるなどがある。使い方を覚えて慣れるまでは準備や援助が大変だが、子どもは面白いとわかると、どんどんアイデアを出して深く広く学んでいく。「LINE entry」など教材をうまく使って、子どもたちと一緒に先生方も楽しく考えながらチャレンジしていければいい。

授業を行いやすい教材「LINE entry」紹介



 オンライン講座の最後には、LINEみらい財団の西尾氏があらためて「LINE entry」を紹介。ビジュアルプログラミングの「Scratch」を参考に開発された「LINE entry」は、一連の教材やゲーム、さらに楽しんで学べるコンテンツを提供する"学習プラットフォーム"だと説明した。

「LINE entry」は学習プラットフォーム
「LINE entry」は学習プラットフォーム

 現在は、学校現場におけるプログラミング教育のサポートにもっとも注力しているという。文部科学省「小学校プログラミング教育の手引」のA~C分類の領域に該当する「公式教材」を公開。何よりも子どもたちの自由な発想を楽しく伸ばしていくことを重視し、先生方が準備に時間をかけずに予算面でもリーズナブルに利用できるよう、無料のコンテンツを提供している。西尾氏は「LINE entryには自由な発想のさまざまなコンテンツが用意されているので、子どもたちが学びは楽しい、勉強がより好きになるきっかけになってほしい」と期待を寄せた。

 「LINE entry」の公式教材では、授業進行に役立つスライド、子どもたちが思考を整理できるワークシート、教材のポイントや授業進行のシナリオ、先生向けのガイドブックなどの教材を準備。これらは専門家や現場の先生の協力も得ながら制作され、もともとの教科のねらいとプログラミング教育のねらいの両方をおさえるものとなっている。

「LINE entry」公式教材
「LINE entry」公式教材

 実際に、学校への出張授業も進めてきたが、現在はコロナ禍により無料でオンライン講師派遣を行っている。今年は、東京都八王子市で「LINE entry」が採用され、八王子市の小学校全校でオンライン授業が展開されている。

 教材は次々にアップデートされており、国語や総合で使える、ウサギとカメで4コマアニメが作れる教材やタイピングの練習教材などもある。現在「LINE entry」と接続して利用できるロボットも開発中だという。

開発中の「LINE entry」のロボット教材
開発中の「LINE entry」のロボット教材

 西尾氏は「日本の学校ではまだプログラミングの時間を確保することも難しいかもしれない。学校の授業だけではなく、ご家庭や放課後などのさまざまな場面で先生にも子どもたちにも楽しんでいただけるサポートを進めていく」と締めくくった。

 LINEみらい財団の取組みは、これからプログラミング教育に臨む先生方の強い味方になるものと感じた。まずは「LINE entry」のミッションを、子どもたちと一緒にやってみてほしい。自分で考えること、できることからはじめることの大切さを実感できることだろう。
《佐久間武》

佐久間武

早稲田大学教育学部卒。金融・公共マーケティングやEdTech、電子書籍のプロデュースなどを経て、2016年より「ReseMom」で教育ライターとして取材、執筆。中学から大学までの学習相談をはじめ社会人向け教育研修等の教育関連企画のコンサルやコーディネーターとしても活動中。

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