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高専の機能強化へ素案、農業分野を先行検討…本科卒に学位授与も

 文部科学省は2026年10月21日、高等専門学校の機能強化に関する検討会(第6回)で、これまでの議論をまとめた報告書の素案を示した。高専の量的拡大、教育の質的向上、卒業者の国際通用性確保の3つを柱とし、新分野への展開や本科卒業者への学位授与制度、教員確保に向けた具体策などを盛り込んだ。

教育行政 文部科学省
高等専門学校の機能強化について(素案)目次
  • 高等専門学校の機能強化について(素案)目次
  • 高等専門学校の機能強化に関する中間整理(8月28日公表)より

 文部科学省は2026年10月21日、高等専門学校の機能強化に関する検討会(第6回)で、これまでの議論をまとめた報告書の素案を示した。高専の量的拡大、教育の質的向上、卒業者の国際通用性確保の3つを柱とし、新分野への展開や本科卒業者への学位授与制度、教員確保に向けた具体策などを盛り込んだ。

 同検討会は2026年6月に設置され、8月28日には機能強化に関する中間整理を公表した。今回は、その後の議論も踏まえた報告書の素案が示された。

 素案では、高専を取り巻く課題として、理工系・デジタル人材の不足や教員の世代交代、施設の老朽化などをあげた。高専卒業者の就職時の平均求人倍率は約30倍にのぼる一方、地元就職率は21.6%にとどまる。また、卒業時に付与される「準学士」の称号が海外で十分に理解されず、海外大学への編入学や就職、ビザ取得などに支障が生じている現状も示した。

 教育領域の拡大については、工学分野以外への展開に向け、具体的なニーズが認められる農業分野を先行して検討する方針を明らかにした。コンテンツなど他分野については段階的に検討する。モデル・コア・カリキュラム(MCC)の活用も視野に入れ、分野拡大に対応した設置基準やカリキュラムの構築を進める。

 本科卒業者への学位授与制度については、法制化を含む制度整備に向け、具体的な検討事項を整理した。学位の授与主体として大学改革支援・学位授与機構などを活用する可能性のほか、既卒者への対応や現行の「準学士」の扱い、国際的に理解されやすい学位名称などを検討課題にあげた。素案では、日本の高専卒業時に学位が授与されないことが進学の障壁となり、モンゴルやタイの受験希望者が日本の高専への出願を見送った事例も紹介し、国際通用性を確保する必要性を示している。

 教員の確保・育成では、実務家教員の資格の明確化やクロスアポイントメント制度の活用に加え、技術科学大学などと連携したリカレント教育・リスキリングを推進する。企業の技術者が実務家教員となるための学び直しや、高校教員が研究経験を積んで学位を取得し、高専教員となるための教育プログラムなどを想定している。

 施設・設備の整備では、国立高専機構の運営費交付金や施設整備費補助金の抜本的な拡充を求めた。日本成長戦略の「戦略17分野」に対応した先端設備の導入や、産学官が連携する共創拠点の形成を進めるほか、老朽化対策や防災機能の強化も課題とした。素案では、高専の体育館における空調設置率が6.3%にとどまる現状も示している。

 このほか、学校教育法第115条に定める高専の目的に「研究」が明記されていないことを踏まえ、法令上の位置付けを見直すための検討を進める方針も盛り込んだ。高専を教育機関としてだけでなく、研究や地域産業への貢献を担う拠点として強化する方向性を示している。

 同検討会の開催期間は2027年3月31日まで。今後、取りまとめに向けた議論が進められる。

《川端珠紀》

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