文部科学省の松本洋平大臣は2026年9月1日の記者会見で、SNSを通じた偽情報や誤情報の拡散により社会の分断が生じる中、民主主義社会を支える基盤として学習指導要領が果たす役割はきわめて大きいとの認識を示した。次期学習指導要領の審議まとめ案では、情報活用能力の向上や対話と合意による意見形成などを重視している。
「次期学習指導要領の審議まとめ案」が8月31日、中央教育審議会の特別部会において示された。松本大臣は、社会全体の多様性が増す一方、SNSを介した偽情報や誤情報の拡散によって「社会の分断の芽」が生じているとの指摘があると説明。こうした中、学校教育を通じて民主主義社会を支える基盤を確立することの重要性は一層高まっており、国が定める教育課程の基準である学習指導要領が果たす役割はきわめて大きいとの考えを示した。
審議まとめ案では、子供たちが当事者意識をもって自分自身の意見を形成し、対話と合意ができることを重視していると説明。具体的には、情報活用能力を抜本的に向上させ、その中でメディアリテラシーや情報モラルの育成を強化するほか、特別活動では、クラスメートと「納得解」や「暫定解」をつくり上げる合意形成を重視する方向性が示されているとした。
今後は、パブリックコメントや関係団体などからの意見も踏まえ、審議まとめ案の趣旨を教育現場で実現できるよう、学習指導要領の改定に向けた準備を丁寧に進めていくと述べた。
一方、部活動の地域展開については、神戸市が9月1日から、すべての市立中学校で平日を含めた地域展開の取組みを始めた。松本大臣は、休日と平日を一体的に地域展開する神戸市の取組みについて、「ほかの自治体が部活動改革を進めるうえで大変参考になるもの」と評価。文部科学省では、2025年12月に策定した「部活動改革に関する新たなガイドライン」に基づき、2026年度からの6年間を「改革実行期間」と位置付け、休日は原則すべての学校部活動で地域展開の実現を目指すほか、平日もさらなる改革を進める方針を示した。
また、指導者の確保や持続可能な活動方法などの課題について、地域の実情に応じた対応策を検証する実証事業を進めるとともに、2027年度概算要求では前年度より拡充した155億円を要求していると説明した。人口減少による児童生徒数の減少や教員の負担増などを踏まえ、子供たちが今後も身近な環境でスポーツや文化活動に触れる機会を守るため、「少し形を変えるかもしれないが、部活動の地域展開を進めることがきわめて重要」と強調。行政や地域の理解と協力を得ながら全国的に改革を進めると考えを明らかにした。
このほか、教師が生徒の水筒に不適切な行為をしたとして懲戒免職となった事案については、内容は把握しているものの、捜査中の案件となるため個別のコメントは差し控えるとした。そのうえで、9月下旬ごろから予定している都道府県・指定都市教育委員会向けの管理指導事務主管部課長会議でも注意喚起を行うとし、各自治体や学校現場と緊密に連携しながら、性暴力などの根絶に向けた取組みをさらに強化していく考えを示した。
会見日の9月1日は、多くの学校で新学期が始まる日。松本大臣は、新学期に児童生徒が安全に学校生活を送れるよう、自殺予防や熱中症事故の防止について教育委員会や学校に万全の対策を求めた。また、会見前日に視察した熊本県の被災地では、学校再開直後の子供たちが元気に過ごす姿が印象に残ったと述べ、被災地の早期復旧・復興に向けて全力で取り組む方針を示した。
さらに、9月11日公開の映画「ルックバック」とタイアップし、「創作はひとを動かす」をキャッチコピーとしたポスターを全国の小中高校などに配布することも発表。科学技術への理解を深める学習資料「一家に1枚」の2027年度版のテーマについては、「炭素 ~命と地球のすべてを形作る~」とすることを明らかにした。炭素が生命や物質を構成する重要な元素であることなどを踏まえ、地球環境問題への理解を深めるテーマとして選定したという。







