埼玉・千葉・奈良・和歌山・佐賀の5県は2026年7月1日、「保育士の処遇改善に関する要望書」を内閣府特命担当大臣に共同で提出した。保育士が給与水準の高い隣接地域へ流出することで、安定的な確保が喫緊の課題になっているとして、勤務や地域の実態を踏まえた公定価格の設定などを求めている。
「保育士の処遇改善に関する要望書」を提出したのは、埼玉県・千葉県・奈良県・和歌山県・佐賀県の5県。知事5名の連名で7月1日、内閣府特命担当(こども政策)の黄川田仁志大臣に手渡した。
要望書によると、5県では待機児童を解消するための取組みや保育サービスの提供体制の整備を進める中、受け皿として保育士の安定的な確保が依然として喫緊の課題となっている。現行制度では、保育の公定価格における地域区分が市町村単位で設定されているため、隣接する東京都や大阪府、福岡県などの給与水準の高い地域へ保育士の流出が続いている。
また、保育士配置基準の改定やこども誰でも通園制度の本格実施により今後、保育需要のさらなる増加が見込まれ、保育士確保の重要性はこれまで以上に高まっているという。
要望事項は、「職務の困難性を考慮した勤務実態に即した公定価格を定め、確実な処遇改善につながるよう、公定価格の人件費部分を明確にする」「地域区分の見直しにおいて、地方自治体と丁寧に意見交換を行い、隣接する自治体間で公定価格に大きな差が生じないよう、国家公務員の地域手当に準拠するという考え方から脱却する」「自治体の財政力によって保育サービスに地域格差が生じることのないよう、公定価格や各種補助制度において、全国統一的かつ総合的に、保育士の人材確保および定着化の取組みを強化・充実させる」の3点。
保育の公定価格の地域区分については、2026年3月の「子ども・子育て支援等分科会」で、国家公務員の地域手当に準拠することを基本としつつ、隣接地域などの状況を踏まえた補正ルールを設けることが考えられるという検討の方向性案が示された。今後、市町村への調査や自治体などとの調整を経て、2027年度予算編成過程で検討される見通しとなっており、要望書では「これから今年度末にかけて、極めて重要な時期にある」と指摘している。
今回の要望書では、県外の隣接市町村との格差について、住民の県外就業率が高い地域において、就業先の地域との均衡や、都道府県域を越えた広域的な区分を考慮して格差を是正するよう提言。新たな補正ルールを設ける場合には、県内市町村間で大きな格差が生じないよう留意し、地方部における保育士不足の実態に即した現行水準を上回る単価設定とするよう求めている。
「保育士の処遇改善に関する要望書」は、埼玉県や千葉県などのWebサイトで公開している。







