教育業界ニュース

教員性暴力防止データベース活用状況、約7割が不適切…文科相12/23会見

 文部科学省の松本大臣は2025年12月23日の記者会見で、教員性暴力等防止法に基づくデータベースの活用状況を公表した。教育委員会や学校法人の約7割が適切に活用しておらず、約4割は登録もしていない事実が明らかになった。

教育行政 文部科学省
松本洋平文部科学大臣記者会見(2025年12月23日)
  • 松本洋平文部科学大臣記者会見(2025年12月23日)

 文部科学省の松本洋平大臣は2025年12月23日の定例記者会見で、教員性暴力等防止法に基づくデータベースの活用状況を公表した。活用を義務付けられている教育委員会や学校法人の約7割が適切に活用しておらず、約4割は登録もしていない事実が判明。松本大臣は「大変遺憾に思う」と述べ、実効的な対策の検討を事務方に指示した。

 教員性暴力等防止法に基づくデータベースは、児童生徒性暴力の未然防止に向けた重要な取組みの1つとして位置づけられている。文部科学省はこれまでも、法律に定める義務の履行について通知や会議等において繰り返し周知を図ってきた。しかし、今回の調査により約7割の教員採用権者がデータベースを正しく活用できていなかった事実が判明した。

 多くの教員採用権者が法律で義務づけられた手続きを実行できていなかったことについて、松本大臣は「子供を守り育てる立場にある教員が、児童生徒性暴力を行うことなどということは、断じてあってはならない」と強調。この事態を極めて重く受け止め、「大変遺憾に思っている」と語った。

 活用が進まなかった要因としては、法律やデータベースの使い方などの理解不足をあげた。会見同日、すべての教員採用権者に対し、データベースの活用徹底をあらためて周知したと説明した。また、今回の調査結果を踏まえ、従来の周知手法には限界があると判断。必ず活用してもらうための「一歩踏み込んだ実効的な対策」の検討について、事務方に指示を出したことを明らかにした。

 一方、2024年度の人事行政状況調査結果として、教育職員の精神疾患による病気休職者数についても報告があった。精神疾患により休職した教員は7,087人となり、前回調査から32人減少したものの、教育職員全体に占める割合は横ばいで、引き続き大きな課題との認識を示した。

 文部科学省としては、学校における働き方改革の推進やメンタルヘルス対策の充実、教職員定数の改善など、教師を取り巻く環境整備を一層進めるとともに、要因や時期ごとの傾向を詳細に分析し、より効果的な対策を講じていく考えだとした。

 他方、オーストラリアで「16歳未満のSNS利用禁止法」が施行されたことを受け、日本政府の対応状況を尋ねられた場面では、SNSが子供に及ぼす影響を一概に断定することは困難と指摘。直ちに法的な規制を導入するのではなく、まずは「情報モラル教育」の推進を重視していく考えを強調した。

 会見の冒頭には、12月22日に行われたH3ロケット8号機による「みちびき5号機」の打上げ失敗について報告があった。松本大臣は、小林副大臣を本部長とする対策本部を設置し、現在、迅速な原因究明と対策検討に全力で取り組んでいると説明。国内のH3ロケットに対する信頼を取り戻せるよう、関係機関と連携し、信頼回復に向けた対応を進めるとしている。

《川端珠紀》

この記事はいかがでしたか?

  • いいね
  • 大好き
  • 驚いた
  • つまらない
  • かなしい

【注目の記事】

特集

編集部おすすめの記事

特集

page top