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学校給食の安定的な運営へ、文科省が留意事項を整理

 文部科学省は2025年9月16日、学校給食の安定的な運営に向けた取組みの推進について、全国の教育委員会などに通知を出した。事業者の選定や契約のあり方などに関する留意事項を整理し、物価上昇などを踏まえた適切な契約変更への取組みを求めている。

教育行政 文部科学省
学校給食の安定的な運営に向けた取組の推進について
  • 学校給食の安定的な運営に向けた取組の推進について
  • 契約書例(一部)

 文部科学省は2025年9月16日、学校給食の安定的な運営に向けた取組みの推進について、全国の教育委員会などに通知を出した。事業者の選定や契約のあり方などに関する留意事項を整理し、物価上昇などを踏まえた適切な契約変更への取組みを求めている。

 学校給食は、栄養バランスの取れた食事の提供による健康の保持増進を図り、食に関する指導を効果的に進めるうえで大きな教育的意義をもっている。一方、文部科学省が2024年度に教育委員会や給食事業者団体を対象に実施した調査研究によると、学校給食用食材の調達に関する契約書類や発注・納品・検収のあり方などで、複数の課題が明らかになっている。

 今後も学校給食を安定的・継続的に運営していくためには、学校設置者などが関係法令改正や社会的変化などを的確に捉え、適切に対応していくことが重要であることから、今回あらためて、留意してほしい事項を整理して通知。学校設置者や学校において、適切に対応するようお願いしている。

 おもな留意事項は、「安定的に実施可能な事業者の選定」「事業者との適切な契約の締結および運用」「学校給食施設における熱中症対策」の3点ある。

 事業者の選定については、「価格に加え、事業の安定性等価格以外の要素も考慮するなど適切に対処すること」と明記。総合評価落札方式を導入し、落札者決定基準を定めるときには、学校給食衛生管理基準等の理解度、調理経験、企業の経営状態などの基準を設定することなどを例示している。

 事業者との契約締結にあたっては、契約金額や業務内容、責任の所在などに対する委託者と受託者の認識の齟齬などに起因したトラブルを防止する観点から、基本的には契約書または契約内容を記録した電磁的記録を作成するよう要請。「取引に用いる書式が不統一」という課題を踏まえ、契約書の記載例や解説も示している。「やり取りが電話・FAX中心で、DXが進んでいない」という課題に対しては、「やむを得ない事業がある場合を除き、FAXでのやり取りの原則廃止に向けて慣行を見直すこと」としている。

 6月1日から労働安全衛生規則が改正され、熱中症が生じる恐れのある作業を行う際、熱中症の重篤化を防止するための体制整備、手順作成、関係者への周知が事業者に義務付けられていることから、学校給食施設の熱中症対策を遺漏なく対応することも要請。「学校給食衛生管理基準」で示しているとおり、ドライシステムの導入に努め、空調(冷房)設備の設置も進めるよう求めている。

《奥山直美》

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