文部科学省のあべ俊子大臣は2025年8月15日の記者会見を行い、全国の私立大学の半数が定員割れと判明した日本私立学校振興・共済事業団調査や、科学研究のベンチマーキング2025の結果について分析・見解を述べた。また広陵高校の甲子園2回戦辞退で、SNSで誹謗中傷が飛び交っているとし懸念を示した。
日本私立学校振興・共済事業団の2025年度調査で、全国の私立大学で定員充足率80%を下回る大学が2割以上となり、全体の定員数が22年ぶりに減少したことが判明した。あべ俊子大臣は、各学校法人がそれぞれの経営状況を踏まえ、規模の縮小、撤退など早期の経営判断を行った結果、全体の入学定員が減少したものと分析。大学の適正規模化が喫緊の課題であると強調した。
科学研究分野では、科学技術・学術政策研究所が8月8日に「科学研究のベンチマーキング2025」を公表した。ほかの論文への引用数が上位10%に入る「注目論文数」国別ランキングでは、日本は2024年に引き続き13位。1位は中国、2位は米国、3位は英国。日本は、韓国やイランを下回る順位となり、研究力の相対的な低下が浮き彫りとなった。あべ俊子大臣は、国内の研究力強化に向けて、科学技術分野への人材投資を拡大し、国際的な影響力を高めるために総合的な施策を推進すると語った。
一方、夏の甲子園の広島県代表・広陵高等学校で発覚した野球部内の暴力問題に関連して、インターネット上でさまざまな意見が飛び交っていることについて、「暴力行為は決して許されるべきではない。広陵高校には再発防止に努めていただきたい」と述べたうえで、生徒のケアなどに適切に対応していただきたいとお願いしたい。(中略)無関係の生徒、また関係者の方々が誹謗中傷にさらされることも決してあってはいけません」と述べた。SNSなどの発言がエスカレートして新たな人権侵害を生むことが懸念されるとして、冷静な対応を求めている。