矢野経済研究所は2025年7月7日、「多様化する学び」支援サービス市場に関する調査の結果を発表した。2024年度の市場規模は、前年度比5.0%増の423億2,000万円に達した。不登校の児童・生徒の増加や多様性の尊重が叫ばれる中、学びに対する選択肢の幅の広がりを求められていることが背景にあるという。
「多様化する学び」支援サービス市場は、「通信制サポート校・早期実践教育スクール市場」「不登校支援デジタル教材市場」「オルタナティブスクール市場」の3つの市場で構成されている。現状では、「通信制サポート校・早期実践教育スクール市場」が全体の9割以上を占めているが、「不登校支援デジタル教材市場」と「オルタナティブスクール市場」も高い伸び率で成長を続けている。
文部科学省によると、小・中学校における不登校児童・生徒数は30万人を超えて増加しており、これに対応するために文部科学省は学びの多様化学校の増設や「出席扱い制度」の設定を行っている。しかし、制度の認知向上や運用面での課題も指摘されている。義務教育期間における学びの選択肢が限られている中、オルタナティブスクールが注目されているが、制度面での整備が課題となっている。
2024年度の「多様化する学び」支援サービス市場規模は、前年度比5.0%増の423億2,000万円に達した。不登校の児童・生徒が増え続ける状況や、保護者・子供の教育・就業に対する価値観の多様化、支援サービスへの参入事業者の増加などを背景に市場を構成する3分野ともに拡大基調にある。
2025年度の市場規模は、前年度比3.9%増の439億9,000万円と予測されている。市場拡大の背景には、不登校児童・生徒の増加、多様性の尊重、保護者の教育や就業に対する価値観の多様化、デジタル学習サービスの一般化、生成AIなど新たなテクノロジーの活用、大学入試環境の変化、地域による教育志向の変化などがあげられる。
矢野経済研究所の「多様化する学び」支援サービス市場に関する調査は、2025年4月から6月にかけて実施され、通信制サポート校、早期実践教育スクール、オルタナティブスクールの運営事業者および不登校支援デジタル教材の提供事業者を対象に行われた。調査方法は、専門研究員による直接面談、電話・メールによるヒアリング調査、文献調査を併用している。